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□それは罰ゲームで
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「ほ、本当に行かなきゃ駄目か?せめて鬘とかないの…?」


「だーめ、髪はワックスで可愛くしてやったんだから文句言わない言わない」


「そうそう、結構似合ってるし。この時間なら人ほとんどいねーから諦めて行って来い」


「ちなみにちゃんと回って来なかったら着替え渡さないからねー」


そう言って友人に背を押されて廊下へと出され…扉を閉められた

窓越しに手を振る友人を一睨みすれば、とぼとぼと重い足を動かす

ちなみに今の格好は、「似合ってる」と言われてもちっとも嬉しくない、言わば女装
女物の制服を着せられているのだ


それは些細なきっかけ
「数学のテストで一番点数が低かった奴は女装で校舎一周」
と言うのを友人とふざけあいながら決めたのだ

俺はいつも平均点ぐらいだったけど、友人はいつも赤点
だから友人が女装してる姿を呑気に笑いたくて頷いたはず…だったんだけど


「え、何この点数…」


友人が見せ付けてきたのは、いつもの2倍の点数が赤ペンで書かれている紙

俺も勉強はしたのだが、相変わらずの平均点より少し上程度


そして次の日の放課後
にやにやした友人が渡して来たのは、この学校を卒業して使わなくなった友人の姉の制服だった

嫌がって逃げる俺を友人は半ば無理矢理着替えさせていき、友人が言っていたようにワックスで毛先をくるくると弄られた

鏡を見せられたんだけど……誰がどう見ようと俺な訳で
むしろ似合って無さ過ぎて痛々しい


一応扉を開こうとしたが開かない
…鍵も閉められた


流石にこの格好で帰る勇気も逃げ出す勇気もなかったので、重い足を動かせて廊下を歩き始めた




なるべく顔を見られないように俯く

確かにもうあまり生徒も残っておらず、何人かとすれ違ったが何もなかったように普通にすれ違えた


まぁ、俺顔も体型も普通だもんな
こんな女の子ならいる…かもしれない
部活とかもやってないし、何の取り柄のない平凡過ぎる俺の存在を皆知らないよな


そう思えば少し気も楽になり、俯いていた顔を少し上げれば早足で廊下を進んだ


…だが、やっぱり誰かとすれ違うのは怖い
また誰かが歩いて来たので俯いて、もう駆け足程度ですれ違おうとすれば、がちりと手首を掴まれた


「おい、挨拶くらいしろ」


「こん、にちは?」


痛い…びっくりし過ぎて舌噛んだし語尾が上がってしまった

挨拶をしたのに離されない腕
ぐいぐい引っ張るが離されず、逆に力を入れられ痛みが走る


「顔見せろ」


そう低音ボイスで囁かれ、顎を掴まれれば上を向かされる

…え、えぇっ
君って生徒会長の子だよね?
名前忘れたけど、俺の方が先輩なんだから挨拶は……って言いたいけど鋭い瞳が怖いから黙る


「…何年?名前は?」


…い、言えませんよ?
言ったら俺全校集会とかで「コイツ女装する変態です」とか公言されるかもしれないじゃん?

後1年で卒業なのに、それは勘弁してほしい…

てかもうバレたのかな…だから名前聞いてきたのか…?


内心冷や汗だらだらで何も答えれないまま、目を伏せ黙りしていれば舌打ちが聞こえた
それに少しビビったのは、内緒


「悪くないな、セフレくらいにならしてやってもいい」


……バレてはないんですね

年下かよって言うくらいに頬を上げて妖艶に微笑まれ、また目を反らす

顎を掴んでいた手が今は頬を撫でている
目の前の彼が俺の耳に唇を寄せたと思えば、「名前は?」ともう一度囁いた


「は…離して…下さい」


「恥ずかしがるな、良くしてやるよ」


低く囁かれて何故か敬語で返してしまった
そのくらいエロい声、ちょっと羨ましいのも内緒

そのまま耳に舌を這わされ、俺は声にならない悲鳴を上げた


舌はそのまま下がり、首筋を舐められて肩がびくりと跳ねる
そしてすんすんと肩に息が掛かる
多分嗅がれてる、凄く恥ずい


「何の香水だ?」


つ、付けてませんけど…

心の中でまで敬語になる程焦る
に、逃げないと不味い…

そうは思うが足がすくみ、妙に体の力が抜けていて動けない


動かない俺に気を良くしたのか、彼は変わらず首筋を舐めたり吸ったりしながらボタンを外していく

だけど2〜3個外された辺りでシャツを掴み阻止した

だ、だって胸ないし…これ以上は不味い


それが面白くなかったのか、はだけた肩に……思いっきり噛みつかれた


「…っ、ぁ…」


「抵抗すんな、それから返事しろ」
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