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□一級フラグ建築士
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"桐垣武之(きりがきたけの)へ
貴方は後1ヶ月後に事故にあって死んじゃいます。
でもこの学園にいる5人のハートを満タンに出来れば回避することが出来ます。
あ、「好き」って言葉は禁句なので、言っちゃ駄目ですよ?
ご冥福…じゃないや、ご健闘を祈ります。
貴方を好きな、親切な死神より"



今朝、下駄箱を開ければピンク色の手紙が。
ここは全寮制の男子校で、とうとう俺までこんな日が来るとは…なんて思っていたら…何じゃこりゃ。悪戯か?

まぁ、そりゃそうだよな。俺には別に何の取り柄も、特徴もないし。悪戯で良かった。
"好きです"何て書かれていたら、どうしたもんかと頭を抱えなきゃならん。
…それにしても、何て不吉な手紙なんだ。誰かに恨みかうようなことしたっけか?
差出人も分からないし謝る事も出来ない。

…うん、気にするのを止めよう。


「待ってよ!何で置いていくのっ」


一応手紙を鞄に終えば同室者の利弥(りや)に後ろから声をかけられた。性格は温厚で元気な奴。顔は格好いいのに寝癖のせいで半減している。
走ってきたみたいで息を切らし、更に髪型もぼさぼさになっていた。


「起こしても起きなかったから…利矢、それ何?」
「ん?どれ?」
「そのハートマークだよ」
「ハート?そんなの無いよ?」


利矢の肩辺りに浮かんでいる輪郭線だけの透明なハートマーク。
それを指差して説明しているのに利矢ったらとぼけて…。

何かのアクセサリーなのか?説明したくないならいいか。
何でもない、と伝えて一緒に教室へと向かった。


クラスメートに挨拶しながら席へとつく。
利矢も皆に挨拶したりじゃれあっていたが、誰もハートマークの話はしていなかった。

チャイムが鳴り、ガラリと扉が開かれれば皆が席へ着いていく。
入ってきた担任に目を向ければ、これまた肩辺りにハートマークが浮かんでいたのだ。


「利矢、あのハートって流行ってるか?」


疑問に思った事を利矢に振ったが…。


「ハートって何が?武之今日変だよ?」
「だからこれの……あれ?」


…ハートが掴めない。そんな馬鹿な、どう言う仕組みだこれ…。


「ハートハートって、武之もとうとう恋したの?相手は誰っ?」
「いや…違うけど」


身を寄せて聞いてくる利矢を宥める。
利矢もとぼけてる訳じゃなさそうだし…俺疲れてんのかな。目を擦ってみたり、細めてみたがハートマークは消えない。

じーっと見つめていたら利矢が赤くなっていく。


「え、ま…まさか俺っ?そんな、急に言われても心の準備が…」


あれ?透明なハートの底に少しだけピンク色が溜まった。
何やら慌てている利矢を横目にそれが不思議で首を傾げる。

…本当になんなんだ、これ。


「そ、そんな顔しないでっ。武之は大事な友達だから…でも本気なら俺は――」
「ありがとう。そのまま親友でいさせて」


何かを勘違いしている利矢の言葉を遮ぎって話せば、またハートに少しピンク色が溜まった。
ハートは10cmくらいかな。それで、溜まったピンク色は1cmくらい。

利矢から教壇にいる先生へと目を向ければ…いない。あれ、もうHR終わったのか?


――バシン!


「いっ!?」
「先生の話を無視してお喋りか、武之。放課後残って先生ともお喋りしようか」
「すみません…嫌です」
「うん、後で先生のところに来い」


何の「うん」なんだ。
それにしても痛い…いつの間にか後ろにいた先生に出席簿で思いっきり頭叩かれた…。
喋ってたのは利矢なのに…何で俺だけ…。

頭をさすりながら涙を堪える。
只でさえクラスメートにくすくす笑われてるのに今泣いたらいい笑い物だ。
でも痛みはおさまらないからむすっと先生を睨みつければ、にやりと微笑まれ…悔しい。

あまりこの先生には近付きたくないのだ。今みたく乱暴な上に、何人かの生徒に手を出しているらしい。よれよれな白衣を身に纏っているのに顔は渋めの男前。
…俺からみたらただのおっさんなんだけど、多分おっさんって言ったら殺される。

あぁ…何が悲しくてこんな乱暴なおっさんが担任な上に放課後残らなきゃいけないんだ。


ハートマークの事なんか吹き飛ぶくらい憂鬱になっていた。
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