ブック2

□201号室
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インターフォンを鳴らしピンポーンと音が響く


「すみませーん。新崎です」


とドア越しに声を掛ければ相手の応答と共に扉が開かれた

向けられる笑顔はとても愛くるしく、まるで女の子みたいだ
唇から覗く八重歯も、あどけなく無邪気で可愛らしい


「こんにちは新崎さんっ」


「こんにちは。集金に来たんですけど、今いいですか?」


「あ、はーい。ちょっと待っててね」


暑いから玄関に居て?と自然と腕を握られ玄関へと招かれる
お礼を言い、部屋へと駆けていく後ろ姿を眺めていた

ふと壁に掛けてあった時計に目をやれば、もう夕方である
…何だか今日は疲れた
集金貰うのも後二人か…早く帰ってお風呂に入ろ

そう決めて待つ事5分


「あっれぇ〜…ここに置いてあったのにー……新崎さーんっ」


「はーい?」


「ちょっと探すの手伝ってー」


…いいのかなぁとは思いつつ、貰えないとこちらも困るので部屋に上がらせてもらった

可愛い顔をしていてもやっぱり男の子で
部屋は男らしくゲームや雑誌類で散らかっていた


「この辺に置いたはずなんだけどー…」


「…少し片付けさせてもらいますね」


彼の集金はいつもこんな感じだ
部屋に上がらせてもらうのは初めてだけど、毎度集金日を忘れて5分以上待たされる
悪気はないみたいだから、今みたいに必死で探してくれてるから怒りとかは湧いてこない
むしろちゃんと生活出来てるのか心配になってくる

雑誌を本棚へと片付けていると、下敷きになっていた箱から茶封筒がはみ出ている
これかな、と箱の蓋を開けてみれば…


「こ、これは…」


「いやーん、新崎さんのえっち!」


い、いやそう言われても…開けたくて開けた訳じゃ…
恥ずかしー何て言いながら後ろに乗っかかって手を伸ばしてくる彼に苦笑いを浮かべる

…人懐っこくて可愛らしいのに、やることやってるのね
そして今時の子は凄いな…

なんて、大量の淫具を前にしてこっちまで恥ずかしくなってきていた

さっさと茶封筒を取り出そうとするが…何か貼り付いてる?
引っ張っても中々取れず手こずっていれば、彼が淫具を一つ手に取った


「あっれー?もしかして新崎さんもこれが好きとか?僕もね、使うのだーい好きなんだ」


…あまりそう言う情報は知らないままでいたかったんだけど
箱の中を弄ってると勘違いした彼はどこか嬉しそうで、乗っかかってる体重が更に掛かる
…いや、抱き締められてる?


「でも最近遊ぶ子がいなくてー…溜まってきちゃってるの」


「遊ぶとか…あんまりそう言うのは止めた方がいいかと思いますけど…」


余計なお世話だろうが、このアパートで一悶着でもあっても困る
何だか嫌な予感がする中、こうなったら封筒の中の金だけでも頂こうとした瞬間

ぐっと身を後ろに引かれ、彼が上に跨がった


「うん、止めるから変わりに新崎さんが遊んで?」


遊ぼう、と跨がりながらうきうきしている彼はまるで子供みたいに可愛い…のだが、その手には色も形もおぞましい玩具が握られていた
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