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「あの、お仕事はちゃんと行って下さい。キララさんがいないと困ってると思います」


…うん、まずはそこだ
俺何かをストー…じゃないけど、とりあえずそれをしててクビになったり人気が下がったりしたら大変だ、責任なんか取れない
勿論、お店の方だって困ってるだろうし…


「そ、それから…なるべく連絡も返すようにします。さっきは急に切ってすみませんでした」


俺の言葉にまたきょとんとしているキララさん
…多分俺が逃げたり連絡しなかったのが、こうなってしまった原因の一つだと思うし……あれを全部返せる自信はないけど


「それで…キララさんが俺に会いたいと思うなら、なるべく会うようにします」


…本当に物好きと言うか、物好きの度を越えている
何でキララさんみたいな人が今こんな状況で目の前にいるのか、100回説明されても分からないと思う…


「だから普通に生活して下さい…こんな所にいたら風邪ひきますから」


本当は俺に関わらないで普通に生活してもらいたいけど、それがキララさんの為だと思うんだけど
…とりあえずキララさんの気の済むようにしてみたいと思う、そして真っ当に生きていってもらいたい


「響…」


「も、勿論会いたくなかったら連絡も何もしなくて良いですから…っ」


きょとんとしていたキララさんが何だか泣きそうになっている
だから慌てて言葉を付け足した

…これでからかわれてるだけでした、とかだったら俺痛過ぎるよな…
笑い堪えてるから涙浮かんでる、とかじゃないといいけど


そんな事を考えていれば、キララさんに抱き付かれてしまった


「き、キララさん?」


「こんなに付きまとって、嫌わるの覚悟だったのに…あんまり優しくしないでよ」


…付きまとってる自覚あったんですか
とりあえず「ごめんなさい」と謝ってしまった


「…俺が響を甘やかしたいのに、響の前だと上手くいかないよ」


また困ったように笑うキララさんが俺の頬を撫でてくる
そんな顔も綺麗で…それが至近距離にあるので見ていられず視線をさ迷わす

キララさんはくすりと笑い、俺の唇を親指でなぞった


「…響、キスしてもいい?」


「…それは駄目です」


甘い雰囲気をぶち壊しだが、はっきり伝えた
…キララさんに後悔させたくないし

そんな俺にむすっとするキララさん、そして少し顔を近付けてきた


「キスしたい」


「駄目です」


「響」


「駄目ですってば…っ」


無理矢理してこようとするのでキララさんの肩を押して顔を背けて逃げる

「…もう」と溜め息のように呟いたキララさんは諦めたようで俺から腕を離した

そして眩しい笑顔を向けながら俺の頭を撫でた


「ありがとう響、今から仕事に行くよ。また連絡するから」


その言葉にホッとし、頷けばようやく少しだけ笑う事が出来た


「行ってらっしゃい、キララさん」


「行ってきます」


頭を撫でていた手が俺を軽く引き寄せ、キララさんが俺の額にキスを落とした
そして嬉しそうに手をひらひらさせればキララさんは去って行った

…不意な事で、安心してて回避出来なかった
額を抑えながら恥ずかしくて暫くその場にしゃがみ込んでしまい、本当に湯冷めして翌日風邪気味になってしまった

でも翌日からキララさんを見かけなくなり、安心する事が出来た
…だけど…毎日来るデートのお誘いを必死に、せめて週1にしてほしいと頼むのに苦労するのであった



end

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