短編
□さようならすら
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正直、泣きそうだった。
ううん、そんなものじゃないわ。
苦しくて、辛くて、心が張り裂けそうなほど、痛かった。
自分が、世が、運命が、全てが憎くて、恨めしくて。
どうして、とか。何で、とか。
疑問と痛みが代わる代わる浮かび上がる。
ああ、私のこれは。
情。
「…っ、さや…」
「あら、随分と余裕なこと。感情を見せられるなんて私も舐められたものだわ。」
「なん、で…!」
「何で?愚問ね、私がくの一であなたが忍だからよ。この道を決めた瞬間から決まっていた事だわ。何を今更。」
殺せ、
「ねえ。お喋りも、この辺にしない?」
「…っ、いや、だ…!おまえと、戦える訳がないだろ、おまえを殺せる訳、ないだろ…!」
殺せ、
「あら、そう。なら私が殺してあげる。」
「っ、さや…!」
殺せ。
感情を、心を、殺せ。
私を、殺せ。
彼を、殺せ。
例え今目の前にいるのが六年間想っていた愛しい人だとしても。
例え今目の前にいるのが将来を約束していた方だったとしても。
嗚呼、今更何を憎むと言うの?歎くと言うの?
決まり切っていた結末が少し早く来てしまっただけよ。
この道を選ばなかったら。学園に入学していなかったら。何か変わっていたかしら。
…いいえ。戦乱の世に生まれたことが、そもそもの過ちね。
ーー
どうやら私は卒業パロが好きらしい。シリアスまっしぐら。
ここで一句。ギャグも好き甘も好きだが切一番。…無理矢理感が否めないよ!!