ハダシの未来

□漁師とアイドル
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『遥ー!!お兄ちゃん帰ってきたわよー!!』


「人いりそうー?」


『……あ』





お母さんの声が途切れたかと思ったら、表から「大漁!大漁!」って生き生きとした声が聞こえた




カゴの片づけを途中で止めて外に出ようとしたら、先に向こうから「あ」と気づいた








智『遥ーっ、マグロ釣れた!マグロ!』


「…良かったね」





いっぱいいっぱいでマグロを持って、朝から笑顔がキラキラしているこの人。





大野智


国民的アイドルグループのリーダー。




…らしい。






『すげぇ穫れたの大ちゃん』


智『船長のおかげだよ〜』


『やっぱり?(笑)』




そして横で智にベタベタくっついてんのが私の兄。


お互い同い年なのに、なんか雰囲気違うんだよなあ…






智『遥これ…』


「今片づけたから、ここにどうぞ」






今片づけたばっかりの捌く机にドカンとマグロをおいた







「凄いおっきぃの釣れたね!」


智『まー溜まってたからなぁ』


「何が?」


『大ちゃん忙しかったんだってさ』


「へ〜」


智『楽しかった〜』


「どうする?解体しちゃう?」


智『いや、いいや。遥達に寄付』


「うちそんな困ってないよ」


『大ちゃん食べちゃえば?せっかくなんだし』


智『ううん、釣り出来ればそれで良かったの』


「ダメ!やっぱり新鮮な内に食べなきゃ!新鮮な時が魚は一番おいしいんだから!」


智『……』


「……何?」


智『いや?(笑)遥も漁師の娘だなぁって』


「伊達に毎日魚見てないよ(笑)少なくとも智よりは魚歴長いから」


智『そりゃそうだ(笑)じゃー食べよっかな』


「毎度あり(笑)」







でっかいマグロをさばいて、切り身にして智の前に出した






智『はえー!(笑)』


「漁師の娘なめんな(笑)」


智『べちゅににゃめてにゃいよ』


「食べながら喋んないでね」


智『うめぇっっ!!!!!!』


「聞いてないしね」


『うめぇっっ!!!!!!』


「で、何でお兄ちゃんも食べてんのよ!」


『大ちゃんの、でかいから食いきれないじゃん』


「自分は?」


『…ほら、俺今日船運転してたからさー…』


「釣れなかったんでしょ?早く組合行ってきなよ。お父さんもう行ってるよ」


『あーあ怒られた(笑)じゃあ大ちゃんまたね』


智『うん!ありがと船長』




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