固い心-Blood-

□崩壊
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「カリラッ!!今まで何処に行ってたんだいっ!!」

「修業もさぼりおって・・・いい加減にしろっ!!」



あれから一時眠り、家へと帰ったカリラを待っていたのはローリーとボタンだった。

二人は言うまでもなく、怒っているが、そんな二人の言葉を聞いてるのか聞いてないのか、カリラは見下す様に二人を見た。



「何処で何しようと俺の勝手だと言った筈だ・・・。そういう事は俺に勝ってから言うんだな。親父さんよ・・・」

「ぐっ・・・!」



カリラはそれだけ言うと二人の横を通り過ぎ、部屋へと向かって行った。




「何故あのようになったのかしら・・・」

「やはり奴が伝説の超サイヤ人なのだろうか?血と殺戮、なにもかも奪い尽くす悪魔の血・・・。日に日に凶暴性を増しておる・・・」

「なら、早く全宇宙を支配させましょうよっ!」

「いや、まだだ・・・。奴はまだ潜在能力を出し切っていないはずだ・・・。
奴が本性を見せるまでは・・・伝説の超サイヤ人か・・・ただの化け物なのか、分からんからな・・・」

「・・・もし、化け物だったら?」

「・・・殺すのみだ・・・。生かしておく理由など無い・・・」

「・・・そうかい・・・」

「それよりも、今日ぐらいに奴の後を付けてみよう・・・」




2人はカリラの入って行った部屋のドアを睨みつけた。

大事な一人娘である筈の娘を化け物扱いしようとするローリー・・・。
カリラを使って楽に暮らしたいという気持ちもあるが、大事な自分の娘であるのだと思い出すボタン・・・。


2人はとても際どい心境にあたっていたのだった・・・。



部屋へと戻ったカリラはベッドに横になり天井を見上げていたが、モキの事が頭から離れず、いつもより早く家を出た。



「モキッ!!」

「カリラッ!?」

「ワリィ・・・。なんか早く来たくてよ・・・。早すぎだな・・・」

「いや、構わないさ・・・。どうする?いきなり始めるか?」

「あぁ!!やろうぜっ!!」

「今日は俺が勝つからな!」

「へっ、俺が勝つ!!」



いつもと変らぬ会話を交わし、組手を始める2人・・・。
その時の2人の表情はとても活き活きとしている。

今回の組手には勝敗が決した。長い攻防が続き、一人が倒れ込んだ・・・。




「はっ・・・はっ・・・!俺の勝ち・・・だぜ・・・カリラ・・・!」

「はっ・・・くっ・・・!ちく・・・しょっ・・・!」



モキがカリラに勝ったのだった。とても嬉しそうな顔を浮かべていた。
倒れてるカリラの手を取り、隣に立たせる。



「大丈夫か?」

「あぁ・・・。クソッ!!あん時打ってればっ・・・!!」



悔しそうに先の組手での自分の行動に後悔をしているカリラの横で、モキは得意げに笑って言う。



「今更悔やんでも仕方ねぇんだ!俺の勝ち!!」

「でもなっ!!一勝一敗数知れぬ引き分けなんだぜ?結果はまだドローだぞっ!!」

「そこまで負けを認めねぇか・・・。まぁ、実際そうだしな・・・。じゃ、明日も俺が勝つ!」

「へっ、その言葉、そっくり返してやるよ!」




他愛ない会話をしていると日は暮れていた・・・。




「・・・帰らなくても・・・平気なのか?」

「あぁ・・・。帰りたくねぇあんな家・・・」

「ならカリラ・・・この星を出ないか?」

「えっ?」



モキは力強くカリラを抱き締めた。



「ずっと一緒に居たい・・・。カリラ・・・俺の傍に居て欲しい・・・」

「モキ・・・。・・・なぁ、前から聞きたかったんだけど・・・お前は俺達を恨んでないのか?」




惑星ルサ・・・モキの母星を侵略し、ルサ星人を殺したのは自分達サイヤ人だ・・・。
一族を殺されてルサ星人最後の生き残りとなったモキは自分達を恨んでも当然のはずなのに・・・。



自分を殺す機会は何度もあった・・・。




「恨んで無いと言えば嘘になるけど・・・それでも俺はカリラを愛してしてる・・・。コレに変りはない・・・」

「モキ・・・」

「なぁ、一緒に出ないか?この惑星を・・・」

「モキとなら俺は・・・何処にでも付いて行くさ・・・」


2人はまた一つとなった・・・。互いの存在を確かめるかの様に求めあった。


幸せそうに、ただ互いを求めていた・・・。


これから起こることなど思いもせず・・・。




熱い情交をし、横になり暗くなった空を見上げていた。

「なぁ、明日ぐらいじゃ、駄目か?」

「明日・・・かぁ・・・」

「無理か?」

「いや、いいぜ・・・。明日の午後、ポッドを確保しといてやるよ・・・」

「ホントか!?」

「あぁ!いつまでもこんな生活はごめんだしな・・・」




それを聞いたモキは上半身だけを起こし、カリラの方を向き、微笑む。


「すまないな・・・。なんか・・・色々とな・・・」

「何謝ってんだよ?謝る様な事してねぇだろ?だから、んな不安そうな顔すんなよ・・・」

「あぁ。わかった・・・」




いつもと態度が違うことに気付いたカリラは胸騒ぎがした。
モキの瞳はいつも以上に綺麗で吸い込まれそうだった。このまま時間が止まってくれればいいなと思っていた。


モキは視線をカリラから外し、真正面を向くが、その表情は悲しそうに見えた・・・。



「モキ・・・。何でそんな悲しそうな面してんだ?」

――ビッ・・・!――

「がっ!がはぁっ!!」

「!!モ、モキィッ!!」

モキに問いただした瞬間に、モキの左胸に細い光が走った。
血を吐きながら倒れるモキを腕に抱き、光が放たれた場所を見たカリラの血の気が一気に引いた・・・。




「親父っ・・・!!」

「カリラッ!!貴様何を考えてるっ!!何処に行くかと思えば・・・。何故殺さないっ!!戦闘種族サイヤ人の恥を知れっ!!」



ローリーの放った気弾はモキの心臓には当たらなかったが、肺を破られていた。
早くしなければ助からないというのは見て取れた・・・。




「だから・・・だから何だってんだよっ!!サイヤ人だからって殺さなきゃいけねぇのかよっ!?」

「そんな落ちぶれたサイヤ人に育てた覚えは無い・・・。ソイツの死体の処理は貴様がしとけ・・・」




ローリーはそれだけ言うと帰って行ってしまった・・・。




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