Book9

□愛と呼ぶには・・・(略)
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私の横をその背中が追い抜いた。
そんな事実に驚いて声をあげると、躊躇いもなく貴方が振り返る。

「何かあったか?」
「…いえ、なんでも。」

いつの間にか、貴方は大きくなって。
いつの間にか、私から離れて行って。
いつの間にか、私の名を呼ばなくて。
いつの間にか、美しい形の唇が辿り。
いつの間にか、その唇が紡ぐのは…。
いつの間にか、私の知らない人の名。
いつの間にか、知らない貴方になり。
いつの間にか、貴方から私は居なく。
いつの間にか、貴方から私が消える。
いつの間にか、貴方のナカから私が。

そんな日が、近いようで。
そんな日が、怖いようで。
そんな日が、来るようで。
そんな日が、とても嫌で。
そんな日が、とても嫌だ。

「…お気になさらず、どうぞそのまま。」
「……あぁ。」

そうして、私は、再び貴方の背中を見ていく。
貴方は、別の人を見て、恋憧れるのだろうか。

恋と呼ぶには重すぎて。
愛と呼ぶには軽すぎる。

この思いは気づかれては、駄目なのか。


Desperate Defeat Dog犬神様へ。
空の夢。エクルから。

お誕生日おめでとう記念。

『愛』と呼ぶには重すぎるし。
『恋』と呼ぶには軽すぎだろう。
だといって、この思いはコンバートすることも、ペーストすることも、できない。

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