Heavenly Blue
□ある日の西浦バッテリー
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「……ほ、ホンキで…言ったの…?」
「ンなワケないだろ。嘘だよ、嘘」
「…………良かったぁ…」
長い長いため息を吐いて胸を撫で下ろすと、
途端に澱んだ空気はどこかへ去っていった。
「でも、オレの話を上の空で聞いてた理由は知りたいな。
何か悩み事か?」
「なっ…悩み事…っていうか、その…ね、」
(最近…キスしてもらってない…から…)
だからといって、
素直にそれを口に出せるほどの勇気は持ち合わせていない。
ひたすらもじもじしながらなんとか気付いてもらおうとしたが、
阿部はあっさりとそれを躱した。
「ま、話せないような事なら別にいいけどさ。
で、さっきの続きだけど…」
「あ…えっと、作戦…だよね……」
気のせいか、三橋の周囲を再びじめじめした空気が取り巻き始めていたが、
突然三橋は阿部に気付いてもらう口実を思いついた。