Heavenly Blue

□花井の長い放課後
2ページ/7ページ



「お前、いっつも田島田島って言ってるけどさ…

 実はライバルっていうより、
 田島に恋でもしてるんじゃないのか?」


「こ……ッ!!!」


その言葉に栄口だけは、
「あぁ、そうかも」
と妙な納得顔をしたが、

花井と三橋は同じように硬直し、
しばらくは言葉も出せないままぱくぱくと喘いでいた。

が、花井はなんとか呼吸を落ち着かせ、
動揺を隠そうと阿部に人差し指を突きつける。


「そっ、そういうお前だって、三橋と…
 つっ、付き合ってんだろ!!」


ここで阿部が何か否定的な態度を取れば、
その場は冗談として丸く収まったハズ…なのだが。

阿部は平然と三橋の肩に腕を乗せると、
視線だけのやり取りで何かを会話しあった後。


「そうだけど?」


と、あっさりと大胆告白をしてみせた。


「なっ……!!?」


再び硬直した花井に気付いていないのか、
阿部と三橋は当然のように話し続ける。

「そういや花井に言うの忘れてたな。
 栄口…は知ってるだろ?」

「もちろん!
 オレ、真っ先に教えてもらったし!」

「だよな。
 …って事は、後は全員知ってるよな?」

「だと思うけど…あ、田島くんはまだだったかも…」

「アイツにはこないだ言ったと思う。
 だからやっぱり花井が最後だ」


目の前を流れる会話を耳にしていると、
不意に花井は、三人にからかわれているのではないかと気がついた。

(あの三橋があんなに堂々と人をダマせるかは疑問だが…)


そこで、グラウンドをぐるりと見渡し、
一番近い場所にいた部員を呼んでみる。



 
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ