Heavenly Blue

□花井の長い放課後
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西浦野球部のグラウンドには、
今日も部員たちの元気な声が響いていた。



今日は監督が不在という事で、
それぞれ前日に与えられたメニューをこなしている。

が、監督がいなければ多少のタガは外れてしまうもので――


栄口と組んでトレーニングしていた花井だが、
視線はちらちらと田島の方へとおよいでいる。

それに気付いた栄口が、苦笑しながら話しかけた。

「花井ってさ、ホントに田島を目のカタキにするよね。
 何がそんなに気に入らないの?」

「何って…ライバルってのはそんなモンなんだよっ」


「…ライバルねぇ…田島はそうは思ってないと思うけど…」


どことなく意味深に呟いた栄口の一言に、
花井が敏感に反応した。

「じゃあなにか?
 オレはあいつをライバルって認めてるのに、
 あいつはオレなんて視野にも入ってないってのか?

 競うほどの相手でもないってのか? えぇ?」


「い、いや…そうは言ってないけど…」


花井に恐ろしい形相で睨まれ、
栄口は慌てて両手を振って花井をなだめようとした。


…と。
二人の会話が途中から聞こえていたのだろう。

三橋と一緒にタオルを取りに来た阿部が、
顔の汗を拭いながら真顔で声を掛ける。



 
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