Heavenly Blue

□最高の一日/最悪の・・・
2ページ/8ページ



今日もみっちりと行われた練習がようやく終わり、
皆が一人残らずふらふらになりながら部室へと戻る中、
阿部が群れに混ざっていた三橋を呼び止めた。

「悪い三橋、オレさ、今から監督と話があるんだ。
 遅くなるかもしれないから、今日は先に帰っててくれ」

「え…で、でも…」

「とにかく、待ってなくていいから。な?」

「う、うん…」

三橋は何か言いたげな素振りで頷いたが、
阿部は三橋が言葉を切り出す前に、監督の待つベンチへ走っていった。



――……


「けっこう遅くなったな…明日も朝練早いのに…」

あれから監督と話をしたりついでに指導を受けたりで、
結局ここへ戻るまでに予定以上の時間がかかってしまった。

「まぁとりあえず、
 三橋を先に帰らせといたのは正解だったかな」

そんな事を呟きながら一人で部室へ向かっていると、
帰る途中の花井と田島に鉢合わせた。

「あれ…まだ残ってたのかよ、お前ら」

「ま、ちょっとな。それより阿部、早く部室行ってやれよ。
 三橋のヤツ、お前が帰ってくるの、ずっと待ってたぞ」

「三橋が? 帰っていいって言っといたのに…」

阿部がグラウンドで三橋と別れてからここへ戻ってくるまでに、
30分近くかかっている。

その間ずっと三橋が待っていたと知ると、
阿部には無駄に立ち話を長引かせる気はなくなった。

「わかった。サンキュ、花井」

阿部が駆け足で二人と別れると、
背後から田島の大声が追い討ちをかけてくる。

「じゃあな、阿部ーっ!!
 二人きりだからって部室でヤッたりすんなよーっ!!」

「ッ!!!」

走り出した足を思わず止め、二人の方を振り返ると、
大きく手を振って別れを告げる田島の襟首を花井がわしづかみ、強引に引きずって建物の陰へ消えていくところだった。


 
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ