Heavenly Blue

□雨と晴れ間と五月の病
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春に入学したばかりの生徒たちにはまだまだ長い高校生活、
いつも晴れとはいかないもので。

梅雨を間近に控えた今日の空は、
今朝から再び降り出した雨がまだ降り続いていた。

――まるで、最近の田島の心境のように。



朝から数えて、何回めかの休み時間。
田島は三橋の前の席なので、椅子に逆向きにまたがり、
窓の方を眺めながら雨への愚痴をこぼしていた。

「なー三橋、この雨、放課後までに止むと思う?」

「…ど、どうかな…」

「止んでくれなきゃ困るんだよなー…
 ただでさえ、昨日は土砂降りでグラウンド使えなかったし…
 かといって、雨が降らないとじいちゃんの畑が干からびちゃう…それも困るしなぁ…」

田島が珍しくだらだらと吐き出す愚痴に、
どう返事したらいいのかわからず、三橋が視線をうろうろさせていると、
突然栄口が教室のドアから顔を覗かせた。

「さ、栄口くんだ…っ」

「あ、いたいた。田島、三橋!」

ドアの外から手招きしている栄口の元へ二人が行くと、
さっきは気付かなかったが栄口の背後には阿部もいた。

「泉はいないみたいだね。
 ま、後で伝えといてくれたらいいや」

「なになに?」

「花井からの伝令!
 授業終わったらユニフォームに着替えて、部室で待機だってさ」

「…ってことは、グラウンドで練習やんの? 土大丈夫?」

「うーん…昨日よりは雨もだいぶ弱まってるし、
 一応昼から晴れるみたいだよ。
 それに、多少グラウンドの状態が悪くても、
 監督なら練習するって言うだろうしね〜」



 
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