Heavenly Blue

□Lewd-play
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西浦高校がテスト期間に突入した、ある日の午後。


一度三橋の家で勉強会を開催して以来、
野球部では試験やテストの前になると、図書館と三橋の家を勉強会の場として利用するようになっていた。

その日勉強する科目によって教える役と質問する役が交替するのも決まり事の一つになっていたが、
三橋と田島は得意科目を持たない上に思考レベルも同程度なので、いつもセットで扱われている。


今日は阿部が教える数学組と花井が教える英語組にわかれ、
三橋と田島は英語組に振り分けられていた。


「なー三橋、そこ違うんじゃねーの?」

「えっ…ど、どこ?」

「ほら、この問3。綴り間違ってるじゃん」

「あ…ホントだ」

指差した場所を消しゴムでせっせと消す三橋の横で、田島がちょっと自慢げに胸を張ってみせる。

「もしかしてさ、三橋よりはオレのが英語に向いてんのかな〜?」

「…おい、田島。お前も同じ場所間違えてんぞ…」

「えぇっ!?」

花井の冷ややかな指摘に田島が慌ててノートを見返し、
そのやり取りを見ていた英語組の机で笑いが起きる。

花井は二人のノートをぱらぱらとめくってみてから、さらに冷たくなった声で田島を刺した。

「むしろ田島より三橋の方が合ってる数が多いんじゃねぇのか?
 お前、よく見たら問1も問2も間違ってるじゃねーかよ!」

「ウソっ!?」

先程の自慢げな態度はあっと言うまに消え去り、
田島はおおげさに泣き真似をしながら三橋に抱き着いた。

「三橋ぃぃっ!
 オレを置いて一人だけ賢くなるなよぉっ!!」

「たっ…田島く、く…るし…」

「ほらほら、遊んでるヒマがあったら続きすんぞ!」

花井に頭を軽くはたかれ、田島が拗ねた顔で返事をすると、再び周りから笑い声が飛ぶ。


その様子を見ていた数学組も一緒になって笑っていたが、
一人だけ笑っていない部員がいた。


 
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