Heavenly Blue

□君の居場所
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――そして今日、利央は16歳の誕生日を迎えた。


…だからといって、別に普段と何かが変わるわけではない。

教室でも野球部でも、誰かに祝われることはなく、利央も自分から言い出したりはしなかった。


「利央! あと10球いくぞ!」

「はいっ」

今日も利央は焦る気持ちをマスクで隠し、準太の球を受けていた。

ところが、練習時間があと1時間をきったところで、
これまで抱え続けた焦りのせいか、利央は最悪のミスを犯してしまう。

キャッチしそこねた球に身体がとっさに反応したまでは良かったのだが、
バランスを崩した利央は無理な体勢のまま倒れ込んでしまったのだ。


(ヤバッ――)


…と思った時にはすでに遅く、利央は足を抱えてその場にうずくまってしまう。

「って〜・・・」

「大丈夫か、利央っ?」

利央が足を挫いたのは、一部始終を見ていた準太もすぐ気付いたのだろう、
マウンドにグラブを投げ捨てて利央の元へ駆け寄ってきた。

「大丈夫…じゃないっす…」

「ったく、何やってんだよ。
 捕手が投手に面倒かけさせんなよな」

準太は利央の身体からキャッチャーの防具を次々と外してやると、
眉をしかめて足をさすっている利央に背を向けて腰をかがめた。

「ほら」

「…何すか」

「足痛いんだろ。保健室まで背負ってってやるから乗れよ」

「…いいっスよ。肩だけ貸してくれれば」

自分から抱き着くのは平気な利央も、保健室まで背負われるのはさすがに恥ずかしいのか、口ごもるようにそう呟いた。

「何言ってんだ、いつもは無駄に抱き着いてくるくせに。
 いいから乗れって、ほら」

「ッ〜〜……」

利央が戸惑いながらも準太の背中にのしかかると、
準太は意外なほどの力強さで利央を背負ったまま立ち上がった。

それからそばで二人の様子を見守っていた二年の一人に声をかける。

「んじゃオレ、このバカを保健室まで連れていくから。
 監督が戻ってきたら、そう言っといてくれ」

「でも…やっぱり誰か身体空いてるヤツに任せた方が…」

「あー、いいって。オレもちょうどコイツに話があったしな」

身長は利央の方が高いのだが、準太は特にふらつくこともなく、利央を担いでグラウンドを出た。


 
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