リクエスト
□その瞳に映るモノ
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乾先輩……
あんたは俺の事、どう思ってんの
時々分からなくなる
だって、あんたは真っ直ぐ俺を見ようとしないから
「乾先輩、今日家行ってもいい?」
「…あぁ、構わないよ」
一つ小さな間を置いて、乾が答える。
それに対し、少し不満を抱いた越前だが、顔に出さないよう気を付ける。
いつも通りの態度を装いながら、二人で乾の家に向かう。
到着して三十分。
カタカタとキーボードを打つ、リズミカルな音が部屋を包み込む。
お互い無言のまま。
(いつまでパソコンいじるつもりなんだろ…)
あまり喋りが巧い方ではない乾と越前。
会話などないこの部屋で、越前は息が詰まりそうになる。
(……何か苦しい。ねぇ、何で何もしないの?何で何も喋ってくれないの?ねぇ…答えてよ…)
パソコン前に座る乾に目をやる。
しかし、声に出していないのだから、返事が返ってくる筈がない。
「乾先輩…」