リクエスト

□その瞳に映るモノ
1ページ/5ページ

乾先輩……

あんたは俺の事、どう思ってんの

時々分からなくなる

だって、あんたは真っ直ぐ俺を見ようとしないから


「乾先輩、今日家行ってもいい?」

「…あぁ、構わないよ」

一つ小さな間を置いて、乾が答える。

それに対し、少し不満を抱いた越前だが、顔に出さないよう気を付ける。

いつも通りの態度を装いながら、二人で乾の家に向かう。

到着して三十分。

カタカタとキーボードを打つ、リズミカルな音が部屋を包み込む。

お互い無言のまま。

(いつまでパソコンいじるつもりなんだろ…)

あまり喋りが巧い方ではない乾と越前。

会話などないこの部屋で、越前は息が詰まりそうになる。

(……何か苦しい。ねぇ、何で何もしないの?何で何も喋ってくれないの?ねぇ…答えてよ…)

パソコン前に座る乾に目をやる。

しかし、声に出していないのだから、返事が返ってくる筈がない。

「乾先輩…」
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ