リクエスト
□囁きに耳を傾けて
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「不二先輩…好きです」
越前にそう告白されたのは、一週間前になる。
だけど、不二はまだ返事をしていなかった。
(どうしよう…そろそろ返事しないと。でも何て言えばいいんだろう…)
不二はこの一週間、そればかり考えている。
「はぁ…どうしよう」
越前の事は、嫌いではない。
むしろ好きな方である。
だから困っているのだ。
不二は告白を受ける事はあっても、自分から告白した事がない。
(や、やっぱ言えない…自分からなんて無理だ…)
何が無理なのかは、不二自身が一番分かっている。
(……恥ずかしすぎる)
「ふぅ…」
考えては、ため息をもらす。
その繰り返しで、一歩も前に進まない。
考え事に夢中になっていたせいか、部室にはもう誰もいなくなっていた。
「俺も着替えて帰ろう」
そんな時、部室のドアが開いた。
「あれ?不二先輩まだいたんスか?」
「え、越前!?」
先程まで考えていた人物が現れた瞬間、動揺しまくる不二。