story

□赤い瞳の少女
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城下町はとても賑わっていました。
喧騒から離れた城で暮らすラウラにとって、そこはまさに刺激以外の何物でもありません。


あの金色に輝く飲み物は何かしら。
赤色の髪飾りが素敵。
見せ物小屋は・・・すこし怖いわ。



見るもの全てが大きく、そして鮮やかにみえました。
城下町に花屋は一軒しかありません。
大きな花屋にたくさんの花々が売られています。

「城に咲くものより美しいわ・・・。」
そうポツリとつぶやくと、
「貴女の方がよっぽど美しい。」どこからか声がしたのであたりを見渡すと、
バラを一輪もった少年がたっていました。



少し汚れたハンチング帽とベージュのベストやシャツ
それは紛れもなくクリフ王子でした。

「大声をだしてはいけません。周りに見つかってしまう。さあ。」
バラを右手に持ち替えて、左手を差し伸べてきたクリフに
頬を赤らめながらも、ラウラは右手でしっかりとつなぎました。






城下町から少し離れて野原へと歩いていきます。
芝生の海に囲まれて、一輪のバラとラウラとクリフだけ。
「クリフ様、お手紙ありがとうございます。私、とてもうれしくて・・・」
「私は貴女以外に美しいと思った姫君はおりません。将来私が国を任されよう時、婚礼の儀をかわしてはくださいませんか。」
「そ、それはつまり・・・」



「これはプロポーズです。ラウラ姫。」




ラウラはなんて今日は素敵な火曜日なのかと、クリフに抱きついたのです。
「喜んでお受けいたしますわ、クリフ様!」


城下町でクリフと別れた後、城の召使が何十人とおりました。
「ラウラ姫がいなくなったそうだ!みつけたら懸賞金がでるってよ!」

パブで飲んだくれた男が大きな声で話しているのが聞こえます。
『早く帰らなくては・・・きっとお父様もお母様も心配されているわ!』


城へ向かう途中、道端で色とりどりの石を売っている少女がおりました。
「とても綺麗な石ですよー!飾りにいかがですかー?」
少女はラウラとそう年も変わらないようですが、見た目はみすぼらしく履いている靴には穴があいていました。
なんて可哀想なのでしょう。ラウラは初めて自分と同じ位の少女と出会い
なぜ同じではないのかと不思議に思いました。


ラウラは麻に並べられた石の中でブルーの石を手に取りました。
『クリフ様の眼の色と一緒だわ。』

「その石、とても綺麗でしょう?一番小さいけれどこれはお父さんに売ってはいけないといわれているの。」
そう少女が申し訳なさそうにいうと、赤い石を差し出してきました。

「貴女の眼は綺麗ね。すこし赤いわ。これならあげられるけど」
「まあ、これを私に?・・・でも、こっちのブルーの石がいいの。おいくらなら売ってくださる?」
「300クローネなら・・・」
と、少女は上目遣いで答えました。

「300クローネ?ごめんなさい、お金の数え方はまだ習っていないの。これで足りるかしら。」
そういうとラウラはポケットにいれていた全ての硬貨を差し出した。


「こ、こんなに?!」
「いいの。これはあなたにあげるわ。これで靴を新調してそれからおのお花屋さんでバラを買うといいわ。」
「ありがとう!・・・じゃあこれもあげるわ!」
そういうと少女は先ほどの赤い石も一緒に手のひらに置いたのでした。




「まあうれしい!ありがとう。大切にするわ。」
「私、ティーノっていうの!あなたの名前は?」
「私?わたしはラ・・・」
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