ソーダの飴玉

□人事を尽くして 天命を待つ
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残りの時間

スイッチの入った涼太と火神君による、ランガン勝負が始まった

試合開始の時と同じ、DFを突き破る攻撃の嵐だった



紅葉の中に何かわからない感情が渦巻いていた

それは、何の感情か分からない・・・


過去の感情がぐるぐると渦巻く

淋しい、虚しい、遠い、悲しい、苦しい

・・・もう会えない

そして、怖い

僕は気付いてしまった

過去の涼太への過ちを・・・







帝光時代、黒子君は信用はされても信頼はされていなかった

・・・と、言っていた

今の涼太は、自分の力以外信じていない

周りがどうだなんて思っていない

これは僕のせいだと思いながら・・・


残り1分を切る直前
90−92で誠凛が追い付いてきた



残り、40秒、30秒、20秒…

ガコンッ


「うわぁあ、また同点!?」

「っの…!!しぶとい…!!
 トドメさすぞ!!」



「時間ねぇぞ!!当たれ!!
 ここでボール獲れなきゃ終わりだ!!」



両チーム、必死で一歩も譲らない戦いになっている

残り、10秒を切ったところで

笠松がトドメのシュートを放とうとした。

日向は、ブロックしようとしたが

体力の限界からか、脚がガクっと折れる



「なっ!!?」

火神が突然現れて、それをブロックした

ブロックされたボールは日向へ、そして誠凛ゴールへ走る火神へパスされる

その隣を黒子君が走る


最後の砦に涼太が立ちはだかる

なにがなんでも二人を止めるつもりらしい

「黒子っ!!」

火神君が涼太にぶつかる直前の距離でパスを回す


「………パスミス?!」

残り、3秒

黒子が投げたのはシュートにもパスにも、コースの外れたものだった

何をするつもりなのか気付いた涼太がゴールに走った

『アリウープ!』

「させねぇスよ!!!」

火神君が跳んだのとほぼ同時に涼太もブロックに跳んだ

「…………!?」


まだ……!?

同時に跳んだのに先にオレが落ちてる…!?

火神君だけスローモーションで見える…!?

・・・いや、火神君の滞空時間が異様に長いんだ…!!

だからジャンプ力のあるほうの涼太よりも…

これは・・・


「これで終わりだからな!!!」

ブーーーーーッ


火神君が叫んだのと同時に試合終了のブザーが鳴り響いた







「うわぁあぁあああっ!!
 誠凛が!?勝ったぁああ!!!」

周りに歓声が響き渡る

まさかの逆転ブザービーターにだれもが唖然とし、興奮している

「うおっ…しゃあぁあーーー!!!」

火神君が盛大な雄叫びを上げた。

黒子君もどこか満足そうな表情をしている。




「負け…たんスか?」

放心状態に近い涼太がぽつりともらしたあとに

涙がぽろりと落ちた



「あれ?あれ?」

初めての『負け』という感触に、どうしようもない悔しさが

心の奥底から湧き出てくるようで、自分でも

感情のコントロールが利かなくなっているようだった




「っのボケ!メソメソしてんじゃねーよ!!」

「いでっ。」

笠松は泣いている黄瀬に容赦なく蹴りを入れた

逆にその行動は、黄瀬にとってありがたかった

重たい空気がガラリと変わる

「つーか今まで負けたことねーって方が
 ナメてんだよ!!シバくぞ!!
 そのスッカスカの辞書にちゃんと『リベンジ』って単語追加しとけ!」

そう言ってもう一発殴った。






「整列!!100対98で誠凛高校の勝ち!!」


「「「ありがとうございました!!!」」」









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