短編

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パァン。


乾いたような音が静まり返った教室内に響いた。
俺は反射的に、ジンジンと熱をもって赤く染まった右頬を押さえる。
一瞬何が起こったのか分からなかった。
が、直ぐに凪に平手打ちをされたのだと状況を把握する。


「最低じゃないですか?貴方。これがファーストキスだったとか初めては理事長様としたかったなぁとかそういうのは許してあげます。確かに僕にも非はありましたし。でもですよ?今、誉兄さんは関係ありません。貴方に誉兄さんを傷付ける資格なんてないんですからね!」


ふうん、ファーストキスだったんだ。
初めては理事長が良かったんだ。
なんて下らないことを考えると同時に、凪の言う通り俺は最低なことをしたのだろうかと考える。
確かに日下には苛立ってた。
凪にも苛立ってた。
山崎弟に凪を日下が溺愛してるって聞いて、咄嗟に凪にキスでもすれば二人に同時に仕返しができるとも思った。
でもそれは流石に卑怯だったか?


「大体ですね、やる規模が小さすぎるんですよ!どうせそんな卑怯なやり方をやるなら強姦くらいやればいいのに悪役にすらなりきれないんですか?このヘタレ!!」


………………はい?


「ちょっ、柚真っ!!?」


凪の発言驚いたのは日下も同じらしくかなり慌てた様子で凪に駆け寄り、その肩を掴む。


「柚真落ち着け!」
「大体ね、誉兄さんも誉兄さんですよ?こんな脇役以下というかもはや存在する価値すらもない様な人間の一挙一動にイライラしないでください!結果、自分のお父様の仕事を増やしているのが分からないんですか!?」
「柚真、深呼吸だっ!!」


クドクド、クドクド……………凪の説教とそれを制止する日下の声。
優等生のいきなりの暴走に唖然とする周り。
凪がひとしきり毒を吐いて落ち着いたあと、ようやく日下が俺に声を掛けた。
お互い視線を逸らしながら、気まずい雰囲気で会話を始める。


「……………なんか逆にすまなかったね」
「……………………凪、いきなりどうしたんだよアイツ」
「昔からなんだよ。柚真は苛々が頂点に達すると爆発する。内容は支離滅裂で、相手を挑発する言葉も少なくない。根が真面目なだけに暴走すると止まれないんだよ」


なんだ、それ。
どんな性格だよ。
………………こんな性格、か。


「……………まぁとりあえず、もう君たちは帰りなよ。一応授業中なんだけど」
「……………分かった」


とりあえず無言の凪の手を引きつつ、俺らは自室に戻った。
いや、それぞれのではなく、二人一緒に俺の部屋だけども。


「………………………」
「…………………………………」


プルルルルルル♪


お互いに気まずく黙りこくっていた空気の中で、突然携帯が鳴り出す。
俺のはもっときちんと最新曲とかに着メロをセットしてあるから、俺の携帯な訳はない。
つーかそんなオーソドックスなのを着メロにしてるやつ、まだ居たんだ!?


「…………………はい」
『〜〜〜』
「り、理事長様っ」


どうやら着信相手は理事長だったらしい。
不機嫌だった凪の顔が、あからさまに緩んでいく。
会話内容は聞こえないが、凪が幸せそうなのは一目瞭然だった。
なんかイライラする。
……………………って何でだよっ!?


「はいっ!理事長様が望んでくださるのなら。柚真は何でも致しますよ、理事長様………」
『〜〜〜』
「そんな…………勿体無いお言葉です/////」


凪の白い頬が桃色に染まる。
どうせ、たかが薄っぺらいお世辞程度だろ。
なに真っ赤になってやがんだよ。
お前はどこぞの乙女かっつーの!


「はい。…………はい、では」


電話を切ったあと、緊張が解けたかのようにゆっくりと息を吐いて、虚空を見つめる凪。
まるで余韻に浸ってるみたいだ。
そう思った。
凪はしばらくそのまま呆けていると、しばらくして満足したのか、ゆっくりと俺の方に顔を向けて、とびっきりの笑顔で言った。


「今日の晩御飯、自分に作らせてくださいね!」


ずっきゅーん
胸にキューピッドの矢が突き刺さるような、そんなイメージが頭の中を駆け巡る。
え?な、なんだよ、この胸の高鳴りは……………。
ただ微笑まれただけで単純だろって?
仕方ないだろ!
今まで、今まで、、、あんまり人に素直に笑いかけられることってなかったんだよ!
あぁ、今の笑顔に惚れたさ!
惚れたともさ!
何が悪い!?
もうヤバイ、次から絶対に凪の顔を絶対に見られないんだけど………。
どうしたらいいっつーんだよっ!?

俺はそれからしばらく、1人で悶々と暴走する羽目になったのだった。










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展開が早すぎて意味不明(^p^)/
紫音が柚真に惚れる要素は全くない。
我ながら酷いWw
でも紫音はアホの子だと思います。
柚真はただの天然。
一番ギャグチックな二人ですWw
あともう少し続いてから、終わります。
 

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