短編

□罪人
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もうなんでどうしてなんでどうしてなんでどうしてなんでどうしてなんでどうしてなんでどうしてなんで………


「なんでアンタがそれを否定すんだよっ!?」


半ばヒステリックに叫んだその台詞。
なんで、どうして、一番好きなアンタにそれを言われなくちゃいけないの。
何も分かってないアンタに否定されなきゃいけないの。
兄貴や兄さんならまだいい。
なんで本人の、想い人の、アンタが、龍騎さんが俺の想いを、気持ちを、存在を、全てを否定するの。
俺が悪い。
自業自得。
知ってるさ。
でもアンタにだけは言われたくなかったんだよ、


「いきなりお前、
「好きだよっ!?悪いか!本気でアンタを好きで悪いのかよ…っ」


兄貴の言葉を遮って、俺はヤケクソで叫ぶ。


「好きだ、愛してるねっ!龍騎さんを愛してる!!」
「いい加減にしてよ!」


今度は兄さんに殴られる。
あーあ、俺、もうやだな。
つか、これ、ヤバくね?
身体が本棚にまたぶつかると同時に、傾く本棚。
本棚と本棚から落ちてくる本をスローモーションを見ているような感覚で見つめながら、俺は死ぬのかな、と感じた。
死ぬんなら最後に、無理矢理にでも龍騎さんにキスの一つでもしときゃよかった。
そんなアホらしいことを考えながら、俺は倒れてきた本棚の下敷きとなって、そのまま意識を失った。










ーただ君に愛されたかっただけなのに、
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