book2

□存在そのもの
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位置について、よーい

パーン!

その音と共に全力で走り出す



あたし、田井中律には悩みがある

あたしと澪は付き合ってるのだが、澪からキスをしてもらったことがまだ一度もないのだ

やっぱり、あたしも好きな人からキスをしてもらいたいという気持ちがある


「なぁー、澪」

「んー?」

「キスして?」

「なっ!?急になに言って」

澪の顔が赤くなる

「だって、まだしてもらったことないんだもん」

「それは…そうだけど」

わかってる、澪は恥ずかしがり屋だから、なかなか出来ないことも

「ぢゃ、明日の体育祭のリレーで一位になったら、キスして?」

下を向いたまま黙っている澪

やっぱり、だめかなと諦めかけていた時

「…わかっ、た」

澪がOKしてくれた

「ほんとか!?」

「うん」

その返事で一気にテンションが上がる

よっしゃー!絶対一位になってやる!」


そして体育祭当日

律の出番が近づく

「澪、ちゃんと見とけよ?」

「わかったよ」

張り切っている律

キスするのは恥ずかしいけど、律には頑張ってもらいたい


そして律が走る番

心臓が大きく高鳴る


位置について、よーい

パーン!


一斉に走りだし、律は次と抜かて陸上部の人と争っている

そんな律を目で追い、頑張れと心で叫びながら、あたしは手に力を込めた

その時、陸上部の子が転んでしまった

一位になれるチャンス

だけど律は立ち止まってその子に話しかける

そして律はその子に肩を貸し、ゴールへと向い始めた

自分のことなんて後回しで、転んだ子を助けるだなんて

実に律らしくて


そしてゴールした途端、みんなからの拍手が響き渡った

清々しく笑う律

そして怪我した子をそのまま連れて保健室へ向かって行った


そんな姿がとても輝いて見えて

胸が熱く鳴り響いていた


そして学校が終わり、帰り道

「一位とれなかったな」

「でも、かっこよかったよ」

「ありがと。でもキスはお預けだな〜」

ちょっと残念そうに笑う律

あたしはそんな律の肩を取り

ちゅっ

軽く触れるだけのキスをした


「……………」

なにが起こったかわからないのか唖然としてる律に

「あたしの中では律が一位だった…よ//」

と言うと、みるみる律の顔が赤くなっていく

あたしも多分赤いのだろう

「へへっ、ありがとな//」

律は照れくそうにだけど、うれしそうに笑った


あたしにとって律の存在そのものが一位だよ








〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

もうすぐ体育祭の時期ですね!

このSSはあたしがまだSSを書き始めた時に書いたんですけど、あまりにも季節外れなのでずっと保管して今回うpしたのですが…

昔のSSうpするのって恥ずかし///

変な汗が出てきてます(>u<;)

読んでいただきありがとうございましたっ

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