book2

□ありのままの君
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最近、律はなにか抱え混んでいる


「おーいっ、ムギお茶にしようぜ!」

「はい!ちょっと待っててね?」

「ムギちゃん!今日のおやつはなに?」

「今日は紅茶のシフォンケーキよ」

「りっちゃん!シフォンケーキだって!」

「おおっ!うまそー!」


表はいつも通りはしゃいでいるけど、あたしにはわかる

何年一緒にいると思ってるんだよ

でも律はどんなに辛くても人には言わないんだ

あたしにも

律の唯一の悪い所


「じゃ、今日はここまでにするか!」

「うん!帰ろー!」

「律、ちょっと話しあるから残って。ごめん、唯達先帰っててくれないか?」

部活が終わって帰ろうという中、あたしは律を引き止めた

「え、あたし達待って「唯ちゃん行きましょ?」えっ、ちょ、ムギちゃん?」

「梓ちゃんも行こう?」

「え、あ、はいっ」

「またね!りっちゃんと澪ちゃん!」

「さようならっ」

唯と梓は不思議にしながらもムギについて行く

今度ムギにお礼を言わなきゃな


「澪?話しってなんだ?悩みなら相談に乗るぞ」

お前は自分のことじゃなく、人のことばっかり

「律。もう我慢しなくて良いんじゃないか?」

「え、な、なんのことだよ?」

「辛いなら辛いって言いなよ」

あたしの言葉に律は不意を突かれたような顔をする

「さっきからなに言ってるんだよ澪〜、熱でもあるのか?」

わざとおどけておでこに触ろうとする律

あたしはその腕を掴む

「!?ちょっ、澪!?」

「あたしはそんなに頼りないか!? 一人が抱え込むなよ。あたしに頼って…よ」

あたしが泣いちゃだめなのに

律が余計困るじゃないか

なのに律を支えられないことが悔しくて、涙が止まらない

すると上からぽつりと水滴が落ちてきた

前を見ると律が泣いていた

「だって、こんなあたし見たら困る…だろ?しょうじゃない…し」

「困らない、律が辛そうにしてる方が困るよ。我慢しなくて良いんだよ?あたしが受け留めるから」

「み…お、うわぁぁぁん」

律はあたしに抱き着きひたすら泣いた

大丈夫だから、辛い時は支えるから

律が辛いとあたしも辛いんだ

だからあたしにも辛さを分けて?

「ひっく、…ぐすっ」

「律。大丈夫か?」

「う…ん」

律は涙目でこっちを見る

あ、やばい
でもちゃんと理由を聞かなければ

「どうして悩んでたんだ?」

「澪が離れちゃう気がして不安になった」

あたしのせいか

気づいてあげられなかった申し訳ない気持ちと、うれしい気持ちでいっぱいになり、律を抱きしめる

「大丈夫。あたしは律の傍から離れないから。心配しないで」

「うん」

悲しい時は一緒に悲しんで

辛い時は一緒に悩んで励まし合って

嬉しいときは一緒に喜んで

一緒に強くなって行こうよ

ありのままで良いんだよ

ありのままの君が好きだから

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