request

□世にも奇妙な物語
1ページ/5ページ

誰しも過去に戻りたいと思ったことはあるだろう

あの頃に戻ってやり直せたら

「りっちゃん、あのね」

「ん?どーしたの?」

「あ、ううん、なんれもない」

いつも律に助けられてばっかで

なのに素直にお礼が言えなくて

あげくの果てに自分の気持ちを伝えずにしまい込んだ

あの頃に戻りたい



ピピピピッ、ピピピピッ

カチャッ

「んー、…ゆめ、か」

昔の頃の夢をみた

夢にまで出てくるなんてよっぽど後悔してるんだな

苦笑いをして、起き上がろうとした時だった

!? 体が小さくなってる!?

あたしはまだ夢を見てるのか

ほっぺを摘んでみると、痛みが確かに伝わってきた

え、……嘘…だろ?

夢、じゃない?


頭がパニックに陥る

夢って痛みも感じるっけ?

何回も寝て起きても体は小さいまま

何度摘んでも痛みはリアルに伝わってくる

日付を見ると現代のままで

???

……………

どうして良いかわからない

とりあえず、もう一度確かめるために顔を洗いに洗面所に向かうことにした

階段の幅がいつもより大きく感じる

親も出掛けているみたいで誰もいないようだ

やっと下りて、洗面所を台を使って鏡を見ると、そこにはやっぱり昔の頃の自分が映っていた

……顔、洗おう

水を流し、よく顔を洗らって再び鏡を見る

結果は変わらない

さっきと変わったことは

水の冷たさといい、紛れもない現実だということ

それを知ってしまったこと


一気に不安が押し寄せる

とにかく心細いくて、気づいたら電話をかけていた

お願い、出てっ

「もしもし、澪。どうした?」

「り、りちゅ、ふぇっ」

「ど、どうした!?」

律の声を聞いた途端、安心したのか涙が止まらなくなる

「今からそっち行くから、ちょっと待ってろ」

そう言って律は電話を切った

安心と不安が混ざる

律はこの状況を見たらどう思うだろうか

受け入れてくれるだろうか

自分でも受け入れられないこの状況を

もし、受け入れてくれなかったらあたしはどうする?

だんだん不安が増してきた

現実と掛け離れていて、ありえないことがあたしに起こっている

どうしてこうなったのか

元に戻れるのか

ただ、一人で抱え込むにはやっぱり心細くて


ピンポン

!? 律だ

あたしは恐る恐る玄関に向かった
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ