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□完治不可の病
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律が旅行でいなかった3日間、あたしはもどかしい気持ちでいっぱいだった

たった3日間

でもその3日間がすごく長く感じて

早く会いたくて

あぁ、あたしは本当に律がいないとダメなんだなって改めて思った

病気ものだな

律病。完治不可の病気

治療はただ一つ

律が傍にいること


そして今のあたしは律病が末期なのだ

おおげさと笑いたければ笑うがいい

それほど深刻なんだ


今日律が帰ってくると考えるだけで、うれしくて

会ったらなんて言葉を掛けよう

まず、思いっきり抱き着いてやろうか

なんてそればっかり考えてしまって

さっきっから携帯を握って、律からメールが来ないか流行る気持ちを隠せずにいる自分

帰りが待ち遠しくて仕方がない

今なら忠犬ハチ公の気持ちがわかる気がする


律はこんなあたしがこんな気持ちになっていること知ってるだろうか

今、律はどんな気持ちなんだろうか


ねぇ、会いたいよ律


すると握っていた携帯から振動が伝わった

待ってましたと言わんばかりに即座にチェックをする

from 律

愛しの澪しゃんへ

今家に着いたから、澪の家にお土産もっていくから待ってろ!


そのメールを見て勝手に足が動く

少しでも早く律に会いたくて

気づいたら律の家の方に向かっていた


「はぁはぁ、!! 律っ!」

「み、澪!?家にいるんじゃって!?」

律を見つけた途端、あたしは思いっきり抱き着く

「おかえり、りつ」

「…ただいま、みお」

律もあたしを強く抱きしめ返してくれた

律の温もり

とても落ち着いて、あたしを包んでくれる

その温かさはあたしの体に浸透し、エネルギーが注入されるみたいだ

「りつ、会いたかった」

「あたしも会いたかった。澪、取り合えず澪の家に行って良い?」

「う、うん//」

律があまりにも優しい眼差しで見詰てくるから、つい顔がほてってしまった


歩きながら律に歩み寄ると自然に絡め取られる手

律の手は魔法の手なんだ

安心できる不思議な力がある

こんなこと言ったらまたメルヘンなどと馬鹿にされてしまうだろうか

そう思うと少し苦笑いが出る

「澪、どうした?」

「ん、なんでもない」

「あたしに会えてそんなにうれしいのか?」

律がにやにやしながら聞いてきた

「…うん、そう、かな」

すんなり出てきた言葉

思わぬ返事だったのか律はびっくりしている

あたしも自分自身にびっくりしている

でも、今日は素直になりたいと思ったんだ


すると律もちょっと顔が赤くしながら

「あたしもだ」

と溢れんばかりの笑顔で答えてくれた

不意に胸が高鳴る

その笑顔は反則だから
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