book3

□王様ゲーム!
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「王様ゲームしませんか!?」

『へぇ?』


あたし達が大学に入学して初めての寮生活、90分授業、色々慣れないことだらけでバタバタしていたけど、最近になって要約落ち着いてきた

梓とは卒業旅行以来会えていない

梓にも高校での予定とかもあるだろうし、なかなか互いの都合を考えると難しくて

でも梓に会えないこの違和感がもどかしくて

だけど、それは梓も同じだったようだ

だって唯が集まろうよ!と梓にメールしたら、即答で2つ返事の言葉が返ってきたらしい

だから今回話を合わせ、唯の家で久しぶりに集まってパーティーをすることになったんだ


当日、私は澪とムギと一緒に唯の家に向かう

唯はあたし達よりひと足早く家に向かった

大学に入ってから寮生活だったから憂ちゃんにもしばらく会っていないため、すぐに会いたいという気持ちがあったのだろう

そして唯の家に着くとなんだかとても懐かしいように思えた

まだそこまで久しぶりと言うほど唯の家に遊びに来てからそれほど経ってはいないのに

そしてチャイムを鳴らすと憂ちゃんが迎えいれてくれた

「皆さん!お久しぶりです!どうぞ中に入ってください」

「憂ちゃん久しぶり!お邪魔します」

憂ちゃんは色々気遣ってくれて本当に出来た妹だと感心しつつ中に入ると、唯がだらけた姿で出迎えてくれた

こっちまで気が抜けてしまいそうな、でもなんだか見ていて不思議と落ち着いてくる

「皆〜、あがってあがってぇ」

「唯は相変わらずまったりしてるな」

「やっぱり自分の家は落ち着くよ!あずにゃんと純ちゃんはもう少ししたら来るって!」

「そっか、なら先にパーティーの準備しとくか!」

あたし達は飾りつけやら、憂ちゃんが作ってくれた料理を運んでいく

その隙に唯とつまみ食いしようとだるまさんが転んだ状態で料理に接近していたら、澪に殴られた

無論、あたしだけ…不公平だ!

そしてそんなこんなふざけながらやっていた時、不意に家のチャイムが鳴り響いた

するとその途端にダラダラしていた唯が一斉にして立ち上がり、玄関へと走り出す

「お邪魔しま「あずにゃーー
ん!!」きゃぁ!?」

やっぱりか。梓の悲鳴が聞こえて皆で笑い合い、あたし達も梓達の元へと向かった

「あずにゃーん!会いたかったよ〜」

「ちょ、唯先輩!離れてください///」

「やだよ、あずにゃんを補給するんだもん!」

うれしそうに抱きつく唯と、慌てて真っ赤になている梓

なんだか相変わらず仲がよろしいで、なんだか微笑ましいな

「梓、純ちゃん、久しぶりだな!元気にしてたか?」

「はい!部活も廃部にならずに済んで、頑張って練習してますよ」

「そうだよな、文化祭絶対行くからな!」

大学に入学して新入部員の勧誘を出来なかったからそれが心残りで

でも、梓が部長、憂ちゃんと純ちゃんも軽音部に入り、新歓ライブをやって新入部員も入ったとメールで報告を受けた時は皆ですごくほっとしたのを覚えている

「じゃ、和は後から来るらしいからそろそろパーティー始めますか!」

あたしの言葉をきっかけにパーティーが始まって料理を食べたり、これまでの話をして盛り上がる

そしてわいわいと楽しんでいると、ムギがなにやらごそごそと鞄から取り出した

「あの、王様ゲームしませんか!?」

『へぇ?』

ムギが取り出したのは王様ゲームに使うくじだった

「私、一度でもいいから王様ゲームやってみたかったの」

そう言いながら目を輝かせながら話すムギは子供っぽくてなんだか微笑ましくて、願いを叶えさせてあげたいと思ってしまう

「まぁ、いいんじゃないか?楽しそうだしやろうぜ!」

すると皆もあたしと同じ気持ちだったのか同意の意が見えた時、聞き覚えのある声が聞こえた

「あら、良いじゃない!やりましょう」

その声に気づき、辺りを見渡すとさわちゃんが皆と紛れてお菓子を食べていた

『さわちゃんいつの間に!?』

相変わらず神出鬼没な人だな

「顧問を誘わないなんて酷いじゃない」しくしく

そう言ってさわちゃんは泣き真似をしながらいじけている

あぁ、何とかして慰めなければ

「さわちゃんは忙しいかと思って誘えなかったんだよ。ごめんさわちゃん」

「そうだよさわちゃん!さわちゃんもそろそろ結婚に向けて大変かなって思ったから」

「どうせまだ独身ですよ!うわぁーん」

唯……天然って怖い

あたし達はそんなさわちゃんを哀れに思いつつ、気を取り直して王様ゲームを始めることにした

「じゃ、せーので引くぞ?『せーの!』

どれを取るのか決めて一斉にくじを引く

そしてハラハラしながらこっそり見るとあたしが引いたくじには1と書いてあった

王様じゃなくて内心がっかりし、王様誰だろうと見渡していると明らかに嬉しそうな顔をしている人が一人いた

…とてつもなく嫌な予感がする

けど逃げる訳にもいかず、あたしは意を決してあの言葉を口にした

「それじゃいくぞ、せーの!『王様だーれだ?』
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