book3

□大事にしてね?
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大切な人が生まれた日

そんな日はやっぱり特別に祝いたいなって思うのだけど

考えれば考えるほど案が浮かばなくて

過去の誕生日を思い出しながら、どうしたらいいのかと頭を練りに練る

服は好みがあるだろうし、キーホルダーもネックレスも指輪もお揃いの持ってるし

んー、律のほしいものは大体あげてしまった気がする

今欲しがっているものも特に検討がない

……だめだ、思い浮かばない

律のことは一番理解しているつもりなのにな

「…お、澪!」

「へ、あ、な、なに?」

目の前には律がいて、どうやらさっきからあたしを呼んでいたらしい

「なに?じゃないだろ。ずっとぼーっとしてどうしたんだよ」

「いや、なんでもないよ。ちょっと考え事してただけ」

律はそれ以上は深く追求はせず、ふーんと返事をした

まったく、お前のせいでこんなに悩んでるんだぞって言えたらどれだけ楽だろうか

律を眺めながら苦笑いすると、律はニッコリと笑った

ほんと、笑顔がよく似合うよな

夏の太陽に負けないくらい眩しくて、暖かい

律には幸せをもらってばっかりで、あたしも律に幸せをあげたいな


「なぁ、律はなにかほしいものってあるか?」

本当はサプライズで渡したかったのだけど、思い浮かばないので仕方がなく聞くことにした

「ん?あぁ、そんなの気を使わなくていいのに」

「そういう訳にはいかない!律が生まれた大切な日だから、ちゃんとお祝いしたいんだ」

「そっか、ありがとな!…そうだな、澪がくれたものならなんでも嬉しいんだけど…強いて言うなら澪かな!」

「なっ⁉/////」

律はあたしの反応を見て意地悪そうに笑う

「澪が一番ほしい」

…ばか律。悔しいけど、しばらくはこの火照った顔はどうにもなりそうもなさそうだ

それに、そんなのもう

「そんなのとっくうに手に入れてるじゃないか///」

すると律はぽかんとし、律の顔も徐々に赤く染まっていった

「そっか///」

「…そう、だよ///」

あたしは律のものなんだから、好きにすればいい

誕生日じゃなくても、それは律の特権なのだから

でも、改めてほしいと言うのならプレゼントするよ

あたしの一生と共に

あたしより早く少し大人になる律

けど、ずっと変わらなくて

そんなあなたをこれからもずっと傍で見ていきたいから


大事にしてね?

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