Shortstory
□Trick or Treat!
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※一部キャラが報われないです。
「Trick or Treat!!!」
マサラの一角に建つ家に、元気な声が響いた。
「っつーことで、レッド先輩、お菓子ください!」
「へへ、オレだってちゃんと今日がハロウィンだって覚えてるんだぜ?」
その家主のレッドは、そう言うとゴソゴソとポケットを漁り出した。
今の彼は、狼男の格好をしている。
「あ、あった。ほら!」
レッドはそう言って、ポケットからアメを取り出した。
「ちぇ、悪戯したかったなあ…」
そのアメを受け取りつつも、レッドと同じく狼男の格好をしているゴールドがつまらなさそうに呟いた。
「悪戯したかったのなら、もっと後に言うべきだったんだよ」
レッドはそう言って、ニヤっと笑うと、こう言った。
「Trick or Treat!」
「あ…えと…」
レッドの言葉に、ゴールドは慌ててポケットを探り出した。
しかし、
「あー!そうだ、さっきサファイアに全部とられて……」
「あらら。それは気の毒だったな。それじゃあ…悪戯するぜ?」
レッドはそうやって笑うと、すうっと息を吸って、大声でこう言った。
「クリスー!ゴールドがお前の事好きだって言ってたぜー?」
「ちょ!?先輩!?」
このレッドの発言に、ゴールドのみならず、その声が聞こえてしまった、魔女の格好をしているクリスまでが赤面してしまった。
レッドはクスクスと笑うと、
「じゃ、後は頑張れよ」
と言って、ゴールドの傍から離れていった。
「先輩、頑張れって何を!?」
その背中に、ゴールドが絶叫にも似た疑問を投げかけたが、レッドは笑うばかりで答えなかった。
「レッドさん、結構意地悪ですね…」
そんな彼に声を掛けたのは、クリスと同じく魔女を扮しているイエロー。
「そうか?…まあ、今日くらいはいいだろ」
レッドはそう笑って未だ赤面しているゴールドとクリスを見た。
同じく笑いながら二人を見ていたイエローだったが、やがてその笑顔をレッドに向けると言った。
「じゃあレッドさん…Trick or Treat!」
「え…えと…」
イエローに笑顔で言われ、レッドは焦り出した。
「やっぱり、レッドさん、ハロウィンってこと忘れてましたね?」
「………」
「それで、ドサクサに紛れてゴールドさんのアメを一個奪ってましたよね?」
「……よくわかったな」
レッドはため息をついてそう言うと、視線をゴールド達からイエローに向けて尋ねた。
「…それで、悪戯は何すんだ?」
「そうですね…また考えておきます」
イエローはそう言って、ニッコリと笑った。