Shortstory
□赤に染まる
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「間違ってる?オレが?」
イエローは、さも愉快そうに笑うレッドの様子に、恐怖を覚えながら、こう言った。
「…はい。レッドさんは、間違っています」
「なんで?オレ、何も間違った事言ってないよ?」
「レッドさんは…何故死のうとするんですか!」
「何故かって?そんなの、決まってるじゃないか。二人きりになるためだよ。……………そう、二人きりにな」
イエローはレッドの言葉を最後まで聞かず、慌てて飛び退いた。
一拍遅れて、今までイエローが立っていた場所を、ナイフが襲った。
「何するんですか!」
「だから、オレたちが死なないと、二人きりになれないんだってば」
彼の瞳は、完全に正気を失った、虚ろで濁った赤い瞳になっていた。
「間違ってるよ、そんなこと!」
イエローは必死に叫ぶが、今のレッドには、何も聞こえていなかった。
「これで…………これでいいんだ!」
レッドがそう言った瞬間、イエローは胸に激しい痛みを感じて、床に崩れ落ちた。
レッドに胸を刺されたのだ。
幸い急所は外れていたが、呼吸はすでに荒くなっていた。
「はぁ………はぁ…………レ、ッドさ…………」
イエローの胸から流れ出る血は、すでに真っ赤に染まっていた病室をさらに赤く染め、彼女自身も赤く染めていった。
レッドはそんな彼女の様子を見てまたしても狂った笑みを浮かべ、彼女が息を引き取ったのを見届けると、ナイフを自身の喉に向けた。
「これからも………ずっと一緒だよ、イエロー……」
そして、喉を突いた。
後にグリーンたちが鍵をこじ開けて病室に入ったときに見たのは、
“赤”
二人の血は、真っ白な病室を、真っ赤に染め上げた。
FIN.
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