Shortstory
□風邪
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全く……世話かけやがって……
…でも、たまにはこういうのも、いいかもしんねえ。
風邪
今日は、珍しくアイツの家に行く日だった。
夏休みにも関わらず、お互いに忙しい日々が続く中、ようやくスケジュールに暇ができたのだ。
久々に会いに行くのだから、何か手土産でも持っていこうか。
そう考えたオレは、家の中の物という物を漁り、気付いた時にはお昼近くになっていた。
慌ててアイツの家に行き、インターホンを鳴らす。
ピンポーン!
…
………
………………
おかしい。
アイツがインターホンに気付かないワケがない。
オレは不振に思ったが、この時はまだ、不安などは感じていなかった。
試しにドアノブに手を掛けると、鍵が空いていた。
すぐ様家の中に入り、アイツ………、クリスを探す。
「おーい、クリス!どこだ!?居たら返事しろ!」
大声でそう叫びながら、クリスを探す。
しかし、家の中のどこにも居らず、残るは寝室のみとなった。
「……無断で入るのは気が引けるが……この際は仕方ないよな」
後で蹴をくらう覚悟で、寝室の扉を開ける。
すると、そこには、
空っぽの寝台と、
床に倒れているクリスがいた。
「……クリス!!」
床に倒れている彼女を見て、咄嗟に手が動いた。
慌てて彼女を抱き起こし、寝台にそっと寝かせる。
その際、軽く額に触れてみたのだが………
「…熱ッ!?」
予想以上の熱さで、思わず叫び声をあげてしまった。
すると、その声に驚いたのか、クリスが軽く呻いて目を覚ました。
「クリス!」
「……ぅ………ゴー、ルド………?」
「大丈夫か!?つーか、夏風邪でも引いたのか!?」
「………あんまり、大丈夫じゃ、ないかも…………夏風邪、引いたかもしれない………」
いつもと違い、だるそうな彼女の様子に、ゴールドは、胸の奥が痛んだ。
「…風邪薬取ってきてやるよ!どこにあるんだ?」
「………ない、わ」
「……は!?」
「……いつも、パラぴょんに治してもらってたから………」
「じゃ、なんでこの風邪もパラセクトに治してもらわないんだ!?」
「………治らなかったの……」
「…………うーん………オレにはわからないぜ………あ、そうだ。レッド先輩なら、何かわかるかも。呼んでくるわ」
そう言って、ゴールドは立ち上がって出ていこうとした。
しかし、そんな彼の服の裾を、クリスは掴んで離さなかった。