Shortstory
□シンデレラ
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とある時代のとある町に、サファイアという娘が住んでいました。
サファイアは、義母のブルー、義姉のイエローとクリスタルと共に、暮らしていました。
サファイアは養子として迎えられたため、意地悪な義母たちにいつもこき使われてばかりでした。
「サファイア、食事の準備は!?」
「すまんち、まだやってないと…」
「ボクの服、どこにあるか知りませんか?」
「…すぐに探してくるったい」
「そこの床が汚れているんだけど……」
「わかったったい。今すぐ拭くったい」
毎日がこんなやりとりの繰り返しでした。
サファイアは、養子の上、野性児でもあったので、ロクな服が与えられず、葉っぱや蔦を服代わりにしていました。
そんなある日のこと。
どこかにでかけていたブルーが、少し興奮気味に帰ってきました。
「イエロー、クリス!さっき聞いてきたんだけど、今度お城で舞踏会をやるらしいの!しかも、あの王子様が来るらしいわ!なんでも結婚相手を探すらしいの」
「王子様がいらっしゃるんですか!?」
「結婚……ですか……」
「あなたたち二人のうち、絶対にどっちかを王子様は選ぶはずよ!」
ブルーの言う通り、イエローとクリスは、なかなかの美貌を誇り、町中の男たちに人気がありました。
サファイアも、かっこいいと噂される王子様を見たかったのですが、ブルーたちはそれを許しませんでした。
そして、舞踏会の日。
「サファイア、留守は頼んだわよ」
「わかったったい」
ブルーたち三人の乗った馬車が出発するのを見届けたサファイアは、家の掃除を開始しました。
そして、全て掃除し終わった頃、突然外で叫び声がしたかと思うと、庭に何かが落ちたような音がしました。
サファイアは不思議に思い、様子を見に行くことにしました。
庭に行ってみると、一人の少年が………魔法使いのような、長いローブを着た少年が、痛そうに背中をさすりながら立ち上がったところでした。
「痛てて………」
「あのー……大丈夫だったと?怪我ばしてないったい?」
「怪我はしてないッスよ。……………って、ええええ!?」
何にそんなに驚いたのか、その少年は、目を真ん丸に見開いたまま、固まってしまいました。
そして、大きく息を吐くと、こうサファイアに尋ねました。
「…アンタはどうして城に行かないんスか?」
「じ、実は………」
サファイアはこの少年に、今の自分の事を話しました。