Shortstory
□入れ替わり
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まさか、こんなことが起こるなんて………
入れ替わり
「ふぁー………!?」
とある日、レッドは、目を覚ました。
…のだが、起きて欠伸をした途端固まってしまった。
……自分の声ではない気がしたから。
「え、な、何?」
声を出して気付く。
この声は、“あいつ”の声だった。
「…まさか!?」
急いで鏡を見る。
…特徴的な前髪で、金色の瞳を持つ少年が、こちらを見ていた。
「えええええええ!!!」
その朝、ワカバタウンに悲鳴にも似た叫び声が響き渡った。
起きた時はパニックになっていたため、気付かなかったが、落ち着いて辺りを見てみると、明らかに自分の生まれ故郷のマサラタウンではなく、今の自分の姿の主である、“あいつ”………ゴールドの生まれ故郷のワカバタウンであった。
一体なぜこうなってしまったのか。
ゴールドはどうなってしまったのか。
寝起きの頭では考えられなかった。
いつもより若干低い視線に戸惑いながら、何をすべきかを考えていたが、ふとポケギアの着信音を耳に捕えて、考えを中断する。
発信者は、
“レッド”
一瞬迷ったものの、出ることにした。
「もしもし『先輩!!!』
聞こえてきたのは、“自分”の声。
ただし、耳にキンキン響く大声や、その雰囲気は“あいつ”の物だった。
「“ゴールド”………」
『“レッド先輩”ッスよね』
お互いに自分自身の声なので、不思議な感じだが、それでも、お互い自分が話している相手が、今の自分の姿の主なのだとわかった。
「…しかし、なんでこんなことになっちゃったんだろ………」
『なんか、その声で先輩の口調だと、変な感じがするッスね』
「それはオレのセリフだよ………さて、どうする?」
『うーん…………とりあえず、皆に相談してみます?』
「え……………………」
ゴールドのその声で、レッドは固まってしまった。
皆に知らせるとなると、絶対に無事ではすまない気がする。
特に、ブルーあたりが。
しかし、そんな彼の心情はわからないのか、今はレッドの声で、ゴールドは言った。
『じゃ、研究所に集まりましょう!』