Shortstory

□めると
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メルト

溶けてしまいそう。
















「ん……」

ボクは、カーテンの間から差している日光で目が覚めた。

上体を起こし、ベッドから降りる。

ふと、頭の中を、ある人がよぎった。




…最近、こんなことばかりだなあ……




朝ご飯のことよりも、一日の計画よりも、真っ先に“彼”のことが思い浮かぶんだ。


「…レッドさん……」

ボクは、彼の名を呼ぶと、ため息をついた。

実際、どう考えても、彼がボクのことを思ってくれるはずがない。

だって…

ボクは目立たないし、彼の周りには、ブルーさんとか、可愛い人ばかりいるから。



…そういえば、今日は彼に会う日だっけ……



ボクは考えた末、思い切って前髪を切った。


あなたに「どうしたの?」って聞かれたかったんだ。


さらに、普段は滅多にしないオシャレをすることにした。


ピンクのスカートに…

お花の髪飾り。



出かける直前に鏡を見る。


いつもとは違う自分が映る。



「…レッドさん、気づいてくれるかなあ」


ボクが弱音を吐くと、チュチュが励ましてくれた。

「…ありがとう、チュチュ」



心配はいらない。


今日のボクは可愛いんだ!


そう意気込んで、待ち合わせ場所の公園に向かう。



「…レッドさんは、まだか…」



家を出るときは感じなかった、不安が急に大きくなる。



でも、それは、彼がくるまでで…


「ん?イエロー?」


愛しいあなたがそこにいた。


ボクは急に、自分の格好が恥ずかしくなり、顔が赤くなった。


「レ、レッドさん!////」

「やっぱりイエローか〜。いつもとは雰囲気が違ったからビックリしたよ。正直、最初はわからなかったよ」


照れ臭そうに笑って、あなたはボクの隣に座る。



どうしよう

どうしよう

どうしよう…!




こんな状況で、好きだなんて、言えない…


ならばせめて、あなたの姿だけでも見たい、って思った。


けど、目も合わせられない。


…これ以上、恋なんてできないのに…


…だって、あなたのことが好きなんだから…


それでもやっぱり恥ずかしくなって、あなたに

「どうした?イエロー?熱でもあるのか?」

なんて聞かれ、ボクは、

「な、な、なんでもありませんっ!/////今日は、用事があるから、失礼します!///」

と言って、その場から逃げるように自宅に帰った。
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