囚われの罪人
□最終決戦T-越えられない壁-
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グリーンは、暫らく黙っていたが、その場の雰囲気に急かされ、やがて口を開いた。
そして、ゆっくり自分の知っている事を話し始めた。
「…まず初めに言っておく。今から話すことは、全て事実だ。………如何に信じられない事でもな。それを理解しといてくれ」
グリーンの言葉に、皆が静かに頷く。
「………俺が研究所に着いたのは、ブルーが気絶するほんの少し前だった。俺が着くと、傷だらけのブルーが、倒れているおじいちゃんの前に立ちふさがり、そのブルーを、ポケモン………ニョロボンが攻撃しようとしている所だった」
「ニョロボン………?」
「まさか……」
ニョロボンと聞いて、何人かは脳裏に同じ人物を思い浮べた。
その彼らの反応を見つつ、グリーンは話を進める。
「…それで、俺は咄嗟に走りだそうとした。………だが、その時、俺は何物かに巻き付かれ、身動きを封じられてしまった。……だから、ブルーを助けられなかった……」
悔しそうに話すグリーンに、ブルーが気にすることはない、と笑いかける。
その笑顔に安心したのか、グリーンはホッとした様子で、ただしどこか辛そうな表情を浮かべて、話を続けた。
「…ここからはさらに覚悟して聞いてほしい。…俺に巻き付いた物。それは、ギャラドスだった」
もうここまでくれば、全員が、誰が研究所を襲ったのかわかっていた。
「…そして、奴に遭遇した」
「……レッドね?」
「そうだ。……それから奴は俺に、全く有り難くない事を言って、その後俺を締め落とした」
「全く…有り難くない事?」
「何なんスか、それって…………」
ゴールド達の問いに、グリーンは暫らく目を伏せた。
そして、そっと顔を上げると、ポツリと言った。
「……傷つける」
「……え?」
「人を傷つける事を……躊躇わない事にした、と……」
「…冗談よね?まさか、あのレッドが……」
「…いや、事実だ。最初に言っただろう?今から話すことは全て事実だと…」
「そ、んな………」
グリーンの言葉に、皆が信じられないという顔をする。
「…そして、最後に奴は、宣戦布告をした。それから俺は気を失った」
「…宣戦布告?」
「ああ。……シルフカンパニーで待っている、と…」
「シルフカンパニー……………」
シルフカンパニーという単語に、ブルーのみが反応した。
後の者は皆首を傾げたが、そこが敵のアジトか何かだというのはわかった。
「おじいちゃんは……オーキド博士は、奴が攫っていった」
「………二年前と同じ展開ね…」
「……いや、違うだろう。いい点では、前の時と違い、攫われたのはおじいちゃんだけだ。………だが、」
「…その代わりにアイツが敵………」
思わぬ展開と事実に、その場が暗く重い空気で満たされる。
しかし、一人の少年がその空気を打ち砕いた。