囚われの罪人
□最終決戦T-越えられない壁-
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仲間としての想いと、
敵としての想いが交差する中、
複雑な事情と心情が渦巻く戦いは始まる。
「……………さん」
どこからか声が聞こえる。
また、体が揺さ振られているのがわかる。
ああ、そうか。
起きなくてはいけないのか。
…それはわかった。
だが、もう少しこのままでいたい。
目を開けば、そこには嫌な現実しか存在していなさそうで、
このまま束の間の平穏に身を委ねたいと思った。
だが…………。
「もう!グリーンさんったら、いつまで寝てるんですか!いくら先輩でも、蹴り飛ばしますよ!!」
「……………………っ!!」
その呆れたような、怒っているような声が聞こえた直後、背中にとんでもない痛みを感じ、グリーンは飛び起きた。
「クリス……もう少し手加減してくれ………」
「す、すいません…ついつい気が入っちゃって…」
「……別に気にしてない。それより……ここは…?」
「…覚えてないんですか?グリーンさん、さっきまでここで倒れていたんですよ?……集合時間になって、皆で研究所を目指したら、博士は居なくなってるし、グリーンさんとブルーさんは倒れているしで大変だったんですよ」
ほら、とクリスが指差した先には、自分と同じく起きたばかりのブルーと、その傷だらけの彼女を心配するゴールド、シルバー、イエローが居た。
「………そうか」
「…それで、一体何があったんですか?」
「それは…………っ!!」
「グ、グリーンさん、落ち着いてください!!」
先程の出来事を急速に思い出し、グリーンは弾かれたように立ち上がった。
しかし、クリスに宥められて一応は落ち着いた。
「……とりあえず、皆を研究所の中に呼んでくれ」
「………あたしが知ってるのは、ここまでよ」
研究所の中に集まった彼ら。
その彼らに対し、ブルーは自分が気を失うまでに起きた事を話した。
あの時、ブルーはたまたま早く研究所に向かっていた。
すると、研究所の方からいきなり爆発音が聞こえてきた。
嫌な予感がしたブルーは、急いで研究所に走った。
研究所に着くと、オーキド博士が誰かと戦っていた。
その誰かは、ブルーの居た場所からは死角になっており、誰なのかはわからなかった。
どうやら、さっきの爆発音は、博士のラッキーのタマゴばくだんと、その誰かのポケモンのワザがぶつかり合った時の物らしい。
博士は必死に戦っていたが、徐々に追い詰められ、ついには気を失ってしまった。
そして、その誰かのポケモンが止めを差そうとした時。
ブルーは走りだしていた。
倒れている博士の前に立ちふさがり、急いでポケモンをボールから呼び出そうとした。
しかし、ボールの開閉スイッチがいつの間にか破壊されており、そちらに気をとられていたブルーは、その誰かのポケモンの攻撃をモロに受けてしまった。
意識が飛びかけたが、博士を守りたい一心で、なんとか持ちこたえた。
しかし、ポケモンが出せない状況は、ブルーにとって最悪としか言いようがなく、ついには気絶してしまったのだ。
ブルーがその話を終えると、皆が一気に険しい表情になった。
そして、次のグリーンの話を待つことになった。