囚われの罪人
□時間制限
1ページ/5ページ
運命のカウントダウンが始まった。
残された時間は、
もうほとんどない。
「…………ぐぅ!?」
必死にホウオウの攻撃を避けつつも突破口を探していたレッド。
そんな彼に、突如横から火炎放射が襲ってきた。
火炎放射は、レッドを掠めはしたものの、大したダメージは与えられなかった。
しかし、一瞬そちらの方に気がとられたため、ホウオウの怒りの一撃をモロにくらってしまった。
予想外の奇襲に驚き、体の痛みに顔をしかめながらも、レッドはプテラに指示をする。
「……プテ、一回退いて……」
プテラは、主人の言葉を聞いて、一気に上昇した。
慌ててホウオウが追ってこようとするが、翼をレッドに痛みつけられたために、はばたく事ができず、追ってこられなかった。
ホウオウの攻撃射程圏外にまで離れたレッドは、一息着くと、自分の手持ちのピカチュウにこう頼んだ。
「……今の攻撃の主を捜し出せるか?」
「ピカッ!」
ピカチュウはレッドの言葉を聞き分け、レーダーである尾をピンと立てた。
そして、すぐに、とある方向を指差した。
レッドはその方向を確認して、ピカチュウに指示を出した。
「………“10万ボルト”」
「……やはり、わかっていたか」
「当たり前だ。……ただ、あのタイミングで邪魔をされるとは思わなかったがな。………他の奴らはどうしたんだ?」
「エリカ達に特訓をつけてもらっている」
「…そうか」
ピカチュウの10万ボルトをくらう前に慌てて草影から飛び出してきたのは、リザードンに乗った、ブルーとグリーンだった。
恐らく、先程の火炎放射は、グリーンのリザードンが放ったものだろう。
ホウオウとの戦いを邪魔されたレッドは、微かに苦い顔をしていたが、グリーンの方は、もっと苦い顔をしていた。
先週とは違い、また“無”を纏っているレッドを見て、ため息をつく。
そして、無理だとは思いつつ、レッドを説得する。
「……レッド。お前、本当に自分のしていることがわかっているのか?」
「……………」
「こんな茶番劇はさっさと終わらして、一緒にロケット団を潰そうじゃないか」
「………………………」
「レッド…………グリーンから聞いたんだけど、あなたがロケット団にいる理由は、罪の償いをするため、なのね?」
「……………………」
「でも、あたしはあなたが罪を犯したとは思わないわ。それに………もっと別の償い方があったんじゃない?」
「…………………いや、違う」
「何が違うんだ?」
「…オレには…………この道しか許されていないんだ………」
「どういうことだ、レッド?」
「お願い。詳しく聞かせてちょうだい」
やっとレッドが口を開いたことに油断していたグリーン達は、この時レッドが一つのボールをそっと下に落としたのに気付かなかった。
それが命取りになるとは知らず…………