囚われの罪人

□すれ違い
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「まさかレッドが………」


「信じられないだろうが、事実だ」


「…すいません。ボクのせいで………」


「いや、イエロー先輩は悪くないッス。悪いのは、ロケット団ッス」


「姉さん」


「何?」


「…もう少し、落ち着いていこう?」


「そうですよ!早くレッドさんを助けたいのはわかりますが……私たちが慌てていては、助けられるものも、助けられなくなりますよ!」


シルバーの意見に、クリスが乗っかる。


それを聞いたブルーは、しばらく黙り込んでいたが、ゆっくりと息を吐いて、頷いた。



「…そうね。アタシたちが焦っても、アイツは戻ってこない。それはアタシたちが一番よく知っていたはずなのに……」


「ブルー、仕方がない。俺だって、レッドのことを思うと、居てもたってもいられなくなる。………だが、これが“親友”というものなんじゃないか?」


「……そうね」


「あの、グリーンさん」


「どうした、イエロー?」


「ちょっと提案があるのですが……今ボクたちは心身共に疲れてしまってますよね?だから、暫く休憩したらどうでしょうか?」


「でも、ロケット団が動いたらどうするの?」


「その時はその時です。……少なくともボクは、休んでおかないと、気が持たないんです」


「…確かに、イエロー先輩の言うとおりッスね」


「そうだな」


「そうですね」


「皆……イエローの言うとおり、休みましょう。……それからゆっくり、かつ着実にロケット団を倒せばいいわ」


「だな」






そういうわけで、グリーンたちは体と心を休ませることにした。



一週間後にまた集まることを約束して、各々故郷に帰ったり、体を癒せる場所に向かったりした。



そんななか、グリーンだけはどこに行くか決められずにいたが、祖父の勧めで、治癒効力のある温泉が売りのタマムシホテルに行くことにした。






タマムシホテルに着いて、フロントで手続きをしようと中に入ると、ちょうど入れ替わるかのように一人の少年がフロントを離れていった。


グリーンはその少年をチラリと見て、ふと首を傾げた。



…どこかで見たことがあるような気がする。




そんな気がしてたまらなかったが、心当たりが全くなく、少年について考えることを止めた。




部屋に入り、そこにあったフカフカのベッドに体を投げ出し、うとうとし始めた頃には、少年の事など忘れてしまった。






ふと目を覚まし、時計を見ると、夕方の六時だった。



…なんと、三時間近く眠っていたのか。




自分で驚きつつ、お腹がすいてきたので食堂に迎う。




食堂のご飯は、とても美味しく、それだけでも来て良かったと思えた。





…少なくとも、この時はそう思った。
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