囚われの罪人
□すれ違い
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偶然すれ違った二つ。
偶然が解決の鍵になるとは、
まだ誰も知らない。
「………ここか……」
今、タマムシシティにある、とある一つのホテルの前に、一人の少年がいた。
その少年は、目立つ瞳を前髪で隠し、至って地味な服装でいるため誰なのか判りづらかったが、ホテルのフロントに堂々と乗り込んでいくあたり、怪しい人物ではなさそうだった。
「…この前予約した者なんだけど」
「…はい、承っています。お客様のお部屋は、701号室です」
「ありがとう」
その少年は自分の部屋に迎うため、エレベーターの方へと歩いていった。
その少年と入れ替わるようにやってきたのは…
「…ここが、治癒効力の高い温泉で有名な、タマムシホテルか……」
ツンツン頭の少年……
グリーン。
「ここに泊まりたいんだが」
「当ホテルは事前に予約されたお客様しか受け付けておりません」
「…俺は、グリーン・ユキナリ。オーキド・ユキナリの孫だ。おじいちゃんから連絡があったはずだが」
「…グリーン・ユキナリ様ですね。承っています。お客様のお部屋は、702号室でございます」
「わかった」
グリーンも自分の部屋に迎うため、エレベーターに向かった。
……先程の少年の隣の部屋であることに気付いたのは、ホテルの従業員だけだった。
「レッド。お前は体に負担をかけすぎている」
サカキのその言葉に、レッドは微かに頷き、そっと自分の心臓の上に手を置いた。
「…わかってます」
「だから、しばらく休んでこい。……治癒効力の高い温泉で有名な、タマムシホテルに予約をしておいた。次の作戦までに体を治してこい」
「…わかりました」
「…タマムシホテルは、なかなか人気のあるホテルだ。目立たぬようにな」
「…はい」
そしてレッドは、普段着ないような地味な服装をして、目立つ赤い瞳を隠しながらタマムシホテルへと向かった。
「……ただいま」
「お帰り、グリーン、イエロー!」
フリーザーを守れなかった悔しさを噛み締めながら、研究所に帰ったグリーンとイエロー。
そんな彼らを、ブルーは笑顔で迎えたが、残りのメンバー……
クリス、ゴールド、シルバーは暗い顔をしていた。
そんな彼らを見て、グリーンは一言、
「……失敗したか」
と言った。
「ええ……ファイヤーも、サンダーも守れなかったの……」
「…フリーザーも、ロケット団に捕えられました……」
「そう……」
「…それに、ミュウツーもだ」
「なんですって!?」
驚くブルーたちに、グリーンとイエローはふたご島での出来事を話した。