囚われの罪人
□目的
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過去に囚われし罪人。
彼を救えるのは、
彼自身しかいない。
「く………」
グリーンは机に両手を叩きつけて悔しがった。
その場にいるのは、先ほどエンジュシティに向かった七人…
グリーン、ブルー、イエロー、オーキド、ゴールド、シルバー、クリス。
サカキによって起こされた地割れを辛うじて空に逃げることで避け、無事にマサラタウンへ帰ってきた彼ら。
しかし、彼らの表情に明るさはなく。
特にグリーン、ブルー、ゴールドは激しく落胆していた。
(く……あの時、もう少し早く気付いていれば、アイツを助けられたのに…)
(レッド…なんで……なんでロケット団なんかに……)
(オレは…ひどいことをしてしまった……)
あの時、ゴールドが彼に投げ掛けた言葉…
その言葉を聞いた時の彼の瞳の奥には……
確かに、苦悩の色があった。
それに気付かずに殴りかかってしまったゴールド。
ゴールドは、そのことを誰よりも悔いていた。
血を吐きつつも、スイクンを捕まえようとした、その執念。
その執念は恐るべき物だ。
しかしそれは、サカキの命令をなんとしてでもこなそうとした、という忠実さも示すのではないか。
グリーンたちの話を聞く限り、レッドは、悪の組織のボスに忠実に従う人とは思えない。
ゴールドはそのことを指摘した。
「グリーン先輩たちの話しを聞く限り、レッド先輩は悪に身を置くような人ではにいと思うッス」
「そう……よね……」
「だから、何か弱みでも握られているんじゃないかって思うんスよ」
「あ、あの…なんでレッドさんは…血を、吐いたのでしょうか……」
クリスの問いに、ゴールドは首を傾げた。
あの時は、たまたま急所に入っただけだと思ったのだが、言われてみれば、鳩尾に拳が入ったくらいで血は吐かない。
疑問に思ったゴールドたちに、グリーンは答えた。
「アイツは…まだ傷が完全には塞がっていないのだろう。ジムの様子を見るかぎり、生きているだけでも奇跡みたいなものだ。……それから、さっきのゴールドが言ったことだが…俺もそうだと思う。というより、そうであってほしい。アイツが本心からロケット団なんかに味方するはずは…ないからな」
グリーンの言葉に、ブルー、イエロー、オーキドは力強く頷く。
グリーンは続けて言った。
「だとしたら…“何”を弱みとして握られているかだが…ヤツが姿を消したのは、サカキとの対戦後。そして、その前はヤツに異常はなかった」
「つまり…サカキとの対戦で何かがあったわけね」
「じゃが、わからないのはそこじゃ。一体何があったら、あのレッドを味方につけることができるのじゃ?」
オーキドの言葉に、皆は暫く首を捻った。
しかし、考えても考えても思い浮かばない。
「とりあえず、今後の目標を話しておこう…。最優先にするのは、レッドの奪還だ。レッドさえこちらに帰ってくれば、ロケット団などすぐに潰せる」
『了解!』
そうして、彼らは新たな目標を掲げ、それぞれ意気込んだ。
そんな彼らに、一つの情報が入った。