囚われの罪人

□復活
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「ほ…本当なのか!?レッドが最後に向かったのがトキワシティだっていうのは…」 

「ああ、確かじゃ。トキワシティの子供たちが、レッドにジムのことを聞かれたそうじゃ」

「ジム…トキワジムか…」

「トキワジムジムリーダーは最強と呼ばれていた。アイツなら挑んだって不思議じゃないわ」

「しかし…なぜそれとレッド失踪がつながる?」

「そこらへんは実際に聞いたほうが早いじゃろう」

かくして、グリーンたちはトキワシティに向かった。















「お、いたぞ。あの子たちじゃ」

トキワについて、博士が指差す方を見ると、数人の子供たちが遊んでいた。

博士はそこに近づくと、レッドについて話を聞かせてほしいと頼んだ。

彼らは、レッドと聞いて首を傾げたが、二年前にトキワジムに向かった少年だと言うと、途端に思い出したようで、いろいろ話してくれた。


トキワジムのことを知って、やる気満々に向かっていったこと。


トキワの森で、金髪の女の子を助けたこと。



どちらも、グリーンたちがよく知るレッドならやりそうなことだった。



しかし、それだけではレッド失踪の理由がわからない。



その他に何かなかったかと問うと、レッドに助けられたという、金髪の少女が言った。


「そういえばあの日…ジム周辺で地震が起きたみたいなんです」

「地震…じゃと?」

「ジムで地震が起きるなんて…」

ブルーが信じられないという口調でいい、グリーンに意見を聞こうとした。


が。


「あ…あれ?グリーンはどこに行ったの?」

グリーンの姿が消えていた。

「ブルー、あっちじゃ」

オーキド博士に言われた方を見ると、グリーンがジムにむかって走りだしていた。

「ちょ、ちょっとお!待ちなさいよ!」

ブルーも遅れまいと走りだす。

あとに残されたオーキド博士と、何故か着いてきた金髪の少女が肩で息をしながらジムにたどり着く頃には、グリーンとブルーはすでにジム周辺の調査を終えていた。

「はあ…年寄りには堪えるわい」

「おじいちゃん、呑気なことを言っている場合じゃない…」

グリーンが珍しく顔面蒼白になりながら言う。

その様子を訝しく思い、何があったか聞いたが、グリーンは到底口を聞ける様子ではなかった。

かわりにブルーに尋ねると、彼女も蒼白な顔をしながらも、見ればわかると言って博士らをジムのほうを見るように促した。

そして、彼女に促されるようにして、ジムの…いや、以前ジムだった所の光景を見た金髪の少女は悲鳴をあげ、博士は絶句した。

「そ、そんな…」

「ジムが…ないじゃと!?」

そこにあったのは、二年たってもなお積もっている瓦礫の山。

無惨なまでに割れた大地。

そして、二年間ずっと残り続けていたのであろう、真っ赤な血痕。


さらに、彼のものと思われる、赤い帽子に、赤や黒の衣服の切れ端。




それらの光景は、彼らの言葉を奪うには十分過ぎた。

















その後、マサラに帰った彼ら。

金髪の少女は、ついてこようとして、グリーンに止められたのだが、助けてもらったお礼がしたいのだと言って、ついにグリーンが折れるほどねだってついてきた。

彼女の名前は、イエロー。





「…で、どうするんですか博士?」

「うーむ…」

研究所に帰ってきたはいいが、何も案が思い浮かばない。

最も、あのジムの様子を見るかぎり、レッドが生きているかどうかも怪しい。



「…もしヤツが生きていたら…あれほどの重症だ。必ず近くの病院に収容されたはずだ」

「けど…トキワの病院にはレッドさんはいませんでしたよ?」

「だとすると…レッドは…」

ブルーの言葉にその場にいた皆が言葉を失った。


その時。


ピピピピピ………


博士の通信機が鳴った。


博士は億劫そうに受話器を取ったが、そのうちみるみると顔が青ざめていった。


そして、通話がきれるとそのまま黙り込んでしまった。






数十分後。







痺れを切らしたグリーンたちに通話の内容を聞かれ、博士は震える声で言った。





「…ロケット団が、復活した……」
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