青き春
□きらきらひかる
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「(今日も、晴れか…)」
濃い藍の空。
月の光を遮るものはなく、一面に散らばった星たちもまた、きれいだ。
「(金平糖、みたいだ)」
永倉さんはあまり好かなかった。
だけど沖田さんが壬生の子供たちのためにどこからか持って来るときには何故か手を出していた。
そしていつも「ただの砂糖の塊だ」と嫌そうに眉間に皺を寄せる。
沖田さんはそれを見て「だったら食べなきゃいいのに」と笑う。
何が気にくわないのか、何と張り合っているのか、永倉さんは何度も金平糖に挑戦し、そのやり取りは続くのだった。
風もない夜。
視界の端で蝋燭の灯が揺れる。
こんなに静かな夜など、過ごしたことはない。
目を閉じれば、浮かんでくるのはいつも新選組のみんなだ。
目指す場所は同じだったはずなのに、いつの間にか合わなくなって。
けれどいざ離れてみれば、大したことの無いように思えた。
今までずっと一緒だった彼らとの縁を、こんなにも簡単に手放してしまった私は?
違うことを考えた。
山南さんのこと、伊東さんのこと。
自分の志は、新選組ではなく、ここでしか貫けはしないのだ。
間違ってなどいない。
今更後悔したって、もう手遅れなのだ。
灯が消える。
ちょうど良かったかもしれない。
晴れたこの空。
散らばる金平糖に、情けない姿を照らされたくなかった。
脱退後。