novel -future-

□present for you
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「いらっしゃいませ!クリスマスケーキはいかがですか」


「…龍峰?」


「あれ、栄斗」



サンタ服に身を包んだ店員がクリスマスケーキを売りさばく。


この時期にはよく見られる光景だ。


行く先々で「とにかく買え」と勧めるその声に少し辟易していた。


だが、今日声をかけてきたのは、オレのよく知る友で、思わず足が止まった。



「何だ、バイトか」


「うん」
 



他店の売り子と同じように、サンタクロースに扮した龍峰。


こんな冬の寒空の下、体調は悪化しないのか。


まぁ、何かあれば蒼摩が気付くだろうが。


オレの知る限りでは、龍峰は蒼摩とともに暮らしていて、アテナからの仕送りと蒼摩のバイト代で生計を立てているはずだ。


身体の弱い龍峰に負担をかけないため、蒼摩が学業との両立を試みているらしいが。



「どうした。蒼摩がバイトクビにでもなったか?」


「違うよ。この仕事も短期的なものだし。でもこのアルバイトのことは蒼摩には内緒にして」



左手の人差し指を立てて、口元に持っていく。


ね?と首を傾げて笑う龍峰の薬指には、細い指輪が静かに光っていた。


 
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