novel -past-

□左利きの言い訳
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龍峰から可愛い告白をされて。


俺からも好きだって言って。



俺たち、付き合ってんだよなぁ。


「うへへー…」


ヤバい。ニヤつきが止まらねえ。



「蒼摩、気持ち悪い」



ユナが通りすがりに吐き捨てた言葉も全然気にならないぜ!



『恥ずかしいよ…』


あの時の龍峰の事を思い出すと、暴れまわって叫びたい衝動に駆られるくらいたまらない気持ちになっちまう。


絶対片想いだと思ってたのに、アイツも俺のことが好きだなんて、マジ幸せすぎるぜ。



そんな幸せ絶頂期の俺だが、今、ひとつだけ不満な事がある。


こういう関係になってしまったせいで、不用意に龍峰に触れなくなってしまったことだ。


以前は、顔を見れば頭を撫でたり肩を組んだりしていたが、最近は明らかにスキンシップが足りない。


龍峰は何だか俺が近くにいると緊張するみたいだし、そんな空気で俺もアイツに触れる勇気はない。


気持ちが通じてるのが分かったのはいいけど、前みたいに自然に触れたいと思ってしまうのは、わがままなんだろうか。




 
 






整然と片付けられた机と、漢方茶の香り。


龍峰に勉強を教えてもらうのは、付き合い出す前からの日課だ。


日課になっているのは俺が学科試験に弱いからだけど、こうやって龍峰のそばにいられる口実になるなら俺の頭の悪さに感謝だ。



「…だからxをここに代入するでしょ」


「おぅ」



今も龍峰は俺のために一生懸命数学を教えてくれている。


聖闘士になるんでも一般常識程度の知識は必要だということで、アテナが学科を導入したらしい。


でも、俺の頭の中は数学どころじゃなくて、龍峰に触りたいってことで一杯だ。


xがどうとかよりも、好きな奴にどう触れたらいいかを教えてくれよ、パライストラ!



「…?蒼摩?聞いてた?」


気が付くと、緑色の瞳がこっちを見つめていた。


「あっ、ああ、聞いてる!」


視線が合うと、龍峰はパッと顔を赤くして伏せてしまった。


そういえば、最近触ってないのに加えて龍峰の顔もちゃんと見ていない。




 
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