present
□期間限定
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水の遺跡を攻略した後、俺たちは龍峰の家で一晩お世話になることに決まり、お袋さん…春麗さんの手料理に舌鼓を打っていた。
中には見たことのない怪しい物もあったけど。
「おいユナ〜、こっちの飲茶も美味いぞ!」
「杏仁豆腐も美味しい!ほら、アリアも!」
ユナや光牙、アリアは完全に中国観光モードになってしまっている。
栄斗はいつの間にかふらりと姿を消した。
そして、体調不良以外では久々に実家に帰ってきた龍峰は、何だかさっきから上の空で、窓の外に視線を向けたまま動かない。
実家に帰省して緊張が解けたのかと思っていたけど、どうやら違ったらしい。
それに気がついたのは、栄斗が戻ってきた時だった。
「あれ、龍峰は?」
ついさっきまで大人しくしていたはずのアイツがいない。
「…フラフラと外に出て行った」
「はぁ…?ちょっと、見てくる」
光牙たちに目をやると、未だに春麗さんと談笑中だ。
楽しそうに過ごす3人には声をかけず、小さな家の扉を閉めた。
家から一歩踏み出すと、思った以上に真っ暗で、水の音がゴウゴウ聞こえる。
月が出ているといっても足元を明るく照らしてくれるというわけじゃない。
窓から漏れる明かりから離れ、ビビる心と慣れない足でゆっくり先に進んでいくと、少し開けた高台にたどり着く。
「……父さん…」