◆Ciel's Memory -Prologue-
Ciel 人が、ネオ・アルカディアという名の「理想郷」にすがり、罪無きレプリロイドを処分していく、哀しい時代。――私は、ネオ・アルカディアに追われるレプリロイドたちと共に、伝説の遺跡へと向かっていました。 私たちの唯一の希望、そう、あの伝説のレプリロイドが眠る、あの遺跡へ。
<シーン1> 銃声。 銃撃音が響く中、弾幕をかいくぐって走る足音。 一人の少女が、死にものぐるいで走ってくる。
ミラン 「シエル―ッ、こっちだ――ッ!」
息が切れる。足がもつれる。 しかし、立ち止まればそれは死を意味する。 ほとんど悲鳴じみた呼吸を繰り返し、シエルは走り続けていた。
やがて、大きな扉が見えてくる。 銃撃もここまでは追ってこない。 立ち止まるシエル。
シエル 「ここが、伝説の遺跡なの‥‥?」
その時、耳もとでささやく声がした。
――くるな。おれにかまうな――
シエル 「え? 声が、聴こえる‥‥。誰なの?」
――おれをめざめさせて、どうしようっていうんだ――
低いささやきは、風にまぎれて消えた。
シエル 「今の声は、いったい‥‥」
ミラン 「どうした?」
シエル 「え、ううん、なんでもないわ。先を急ぎましょう。」
誰も足を踏み入れたことのない遺跡の奥深くへ分け入りながら、シエルは心の中で祈り続けていた。
シエル 「ゼロ、たすけて。お願い、たすけて‥‥」
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