長い物語

□前世ノ物語
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 その昔、多くの武将が天下統一を願い戦をしていた頃に、武将を陰から支える忍びを育成する学園・忍術学園から巣立った立川満月は、相模地区に町を築いた真田家に就職した。
その2年後―――

 「本日付けで立川満月を真田弦一郎が嫡子・蓮二の専属護衛に任命する」
上座に座った男…リッカイの長・真田弦一郎が告げる。
「御意。
殿のご期待に沿える様、この命いくらでも削りましょう」
下座に膝を着いていた満月は告げた。
「さ、そんな空気を何時までも出していないで、お菓子を食べようか。
時友、お茶淹れてきてくれるかい?
金吾、廊下で待機している滝と次屋を呼んで来て。あと部屋にいる蓮二」
弦一郎の少し下で座っていた女性が微笑みながら、部屋の隅で控えていた二人の青年に声をかけると、二人はすぐさま部屋を出て行った。

「幸ノ方様、一体いつ城下にいかれたのですか?」
満月は尋ねる。
「いや?城下には出てないよ。
七松に買ってきてもらったんだ。
ここのお菓子美味しいからね」
弦一郎の唯一の奥方・幸ノ方が告げる。
「母上・・・」
「あ、蓮二遅いよ。
はい満月の隣座って」
幸ノ方は座布団を満月の隣に置いた。

「本日より若様の専属護衛になりました、
立川満月でございます」
満月は座布団から降り、頭を下げて告げた。
「あぁ、満月か。よろしく願おう。
ただ、若様と呼ぶのは止めてもらっていいか?」
蓮二は告げる。
「では・・・蓮二様、ですか?」
満月恐る恐る尋ねる。
「ああ、それでいい」
蓮二は微笑むと満月の頭を撫で、座布団に座るように促した。
満月は座布団に座ると、視線を彷徨わせる。
「あーもう!満月は本当に可愛いなぁ。
ほら、満月最中お食べ」
幸ノ方は最中を満月に差し出した。
「頂戴します」
満月は頭を下げてから告げ、最中を受け取ると小さな一口を食べた。
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