捧げ物
□星空えがお
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夜の空を見上げる
ピン、と張りつめた冷たい空気。その冷たさが濃くなるにつれて、空の星も色を取り戻す
「キレイだのォ」
俺の隣で辰馬が笑う
「宝石見たいじゃき」
「でもよ、どーせ石なんだろ」
夢がないのォ、と顔を顰めて作る表情は、笑顔
こいつはいつも笑ってる
何言っても、何してても、どんな時でも
そーいやアノ時も、こいつは笑ってたっけ
「金時?」
キスできそうなくらい、間近で顔を覗かれる
「んだよっ…てか、顔近ェから」
慌てて離れれば、返ってくるのはヘラリと気楽な言葉で
「気にすることじゃないキニ」
「俺が気にするの!!」
はあ、と盛大な溜息が、勝手に口をつく
「金時、溜息ついたら幸せが逃げるっていうぜよ」
「誰が溜息つかせてると思ってんのさ!!」
サングラスの奥で、目が何度か瞬いた
…ったく
頭をかいて、地面に寝転がる
夜の草が、優しく体を包んだ
空に浮いた、でっかい石を見上げながら、俺は尋ねる
「…お前ってさぁ、なんでいっつも笑ってんの?」