ブック(パロ)

□壁際ロマンス
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「俺は……十分待ったんだけど、会長」


「な、何がじゃっ!!坂田っ!!////
遊びはなぁ、他の物好きとやれっ!!!////」


その一言が追い討ちとなり、坂田銀時の眉間には先程より一層濃い皺が寄せられた


自分は空手の有段者とはいえ相手は男
カーテンも掛けられていない窓に追い詰められては逃げ場がないだけでなく外から丸見えだ


ここが三階なのがまだ救いかもしれない
彼の自慢の……
いや、彼にとってはコンプレックスの塊であるが……
銀の髪は茜色の夕焼けに良く映えて美しいばかりだった


けれどもその髪がいくらか掛かった緋色の瞳は非難と苛立ちで不機嫌さを大々的に主張してやまなかった


二人しかいない生徒会室は黙ってそれを見届ける


「まさか……忘れたとかいうんじゃねーだろうな?
俺がアンタに言ったことを……」


「忘れたっ…わけではないが……;;;
あんなのっ!!冗談じゃろっ!?
いい加減にしなんしっ!!」


窓硝子に着いた彼の両手は頬を夕焼け色に染めた少女、月詠の逃げ道を容易に塞いでいた


ハァ、といった溜め息が月詠の耳に溢れるが
それが体の芯を震わせ紅潮を煽った


「会長さんよぉ」


「ぅ、なんじゃ…坂田っ///」


「会長は……年下は嫌なのか?」


「Σなっ////そんなことは……ない……ぞ///」


「自分よりも有能な男は嫌い?」


「それ…遠回しにわっちのこと侮辱しておらんか?」


「本当のことだろう?今日だってアンタの残した仕事を手伝ったんだから」


「おかげさまでなっ」


冷たく睨んでいた瞳がようやく和らいだ
それにドキリとしてしまうのは、彼が校内で一、二を争うほどの容姿を持ち備えた男子生徒だから


何処かチクリとした月詠に気付いてか気付かずか、質問攻めは止まらずに続く


「心配症なのは?」


「別に」


「甘い物好きなのは?」


「大丈夫」


「髪が天然パーマ」


「かわいいではないか」


そこまで聞くと
銀時は月詠の頬へ自身の掌で優しく触れた


急激に熱くなる体はもうどうにもならない


潮時かもしれないと思った


「ぬし、自分のこと良くわかってるおるのだな」


「なんだ……そこまで鈍感じゃねーんだな」


「あのなっ!!////」


「だったら、俺がアンタの為に副会長に立候補したこともわかってくれてん
だよな?」


「え?」


見開いた瞳にやっぱりな、と彼はうなだれた


その姿がちょっとばかり可愛いなんて言ったら怒るに違いないけれど


窓に着いていた手を追うように、今度は腕まで硝子にピタリと重ねると銀時はまた一歩月詠に近付いた









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