◆ガンダム部屋◆

□兆し
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僕は一生懸命ティエリアの後ろ姿を追っていた。全く僕を気に掛ける様子もなく肩で風を切って颯爽と歩く姿は惚れ惚れしてしまう。
「次はあの店だ」
「え?あ、うん!」
僕の両手には大きな袋がいくつも掛けられている。腕には持ち手によってついた赤い線状の跡が何本もついていた。正直痛い。まだまだ荷物が増えるという事実が僕の気持ちを更に憂鬱にさせる。
何故こんな事になっているのか?それはスメラギさんにお願いされたからだ。
近頃は各国も目立った動きを見せずマイスターは全員待機を命じられていた。そんな時スメラギさんからティエリアと共に呼び出されたのだ。
「ミッションか?」
「いいえ、違うわ」
開口一番そう言ったティエリアの疑問は即座に否定された。ティエリアの顔が途端に怪訝なものに変わる。
「ミッションじゃないのなら何故俺達を呼んだんだ?」
「貴方達にお願いがあるのよ」
スメラギさんは口元に笑みを湛えて一枚の紙切れを取り出した。それを僕達に差し出す。
「これは?」
「買い出しリストよ」
「買い出し?」
「貴方達にそこに書かれているものを買ってきて欲しいの」
「そういうのはエージェントに任せればいいんじゃないですか?」
当然の疑問を口にする僕にスメラギさんは急に怖い顔をした。何なんだろう。
「エ、エージェント達にはミッションのための下調べとかお願いしてて出払っているの」
「はぁ……」
妙に嘘っぽく聞こえるのは僕の勘違いだろうか。スメラギさんが目を合わせてくれなくて一瞬口篭ったからそう聞こえただけかな。
『お前、バカだろ』
ハレルヤの声が聞こえてきた気がしたけど多分気のせい。
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