もうひとつの物語

□友達
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映画科は1時限目は自習となっていた。
だが、プリントには、ちゃんと課題が書かれていた。

「光ね・・・」
ファンは、今回は課題が難し過ぎると、忌々しそうな顔をしていた。

「やっぱさぁ、光って言ったら、太陽が当たる中庭だと思う訳よ」
ギョンは、根拠のない事を言って、ファンとインとシンを連れ出す。

その場所はチェギョンのいる美術科が見える場所でもあった。

「そういえば、シン。こいつ、誰だ?」
ファンはシンの記録として、今朝も撮影していた。
ビデオの再生させ、一時停止ボタンの押し、シンに見せる。

「誰だ?こいつ・・・」
ギョンはビデオを見て思った事を口にする。

「ユルだ」
シンは納得して、答えるだけだった。

「シン。本当だろうな?」
疑い深いインに、シンは間違いないと断言した。

「おっと、時間あんまりないぜ。早くしねぇと・・・」
ギョンは時計を見て、焦っていた。

「写真は、“己の心を写し出す”ものだよ。ギョン」
インは正論を使い、ギョンを落ち着かせる。

それを見ていたシンは、カメラをチェギョンに向けて、撮影する。

真剣な表情で勉強をしているチェギョンが髪を耳に引っ掛けている姿を捉えていた。
その後ろにユルがいた。
同じ仕草で、髪を引っ掛けていた。

「やっぱり、姉弟だな・・・」
第三者であるシンだからこそ、気付いた事だった。

「一緒にいさせるこそ、目立つんじゃないか?」
シンはチェギョンとユルを見て、ブツブツと言っていた。

「?なんか、言ったか?シン」
ファンも、カメラで何かを撮りに戻って来た。
そして、シンの独り言を聞いて、聞き返したのだった。

「いや、なんでもない」
そう言って、シンはファンと共に教室に戻る。
 
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